「あれ、残ってたのか」
「嗚呼、まあ、な」
「その、変な質問かもしんねえけど、大丈夫か?」
「問題ないよ。ちょっと出てくるな。武器の調達したいし」
「なあ、」
「ん?どうした?」
「兄貴面もいい加減にしろよ」
「は?」
「てめえはもう仲間だって言ってんだよ!!」
声を荒げられても、どうしても執着できない自分。
命をかけているにもかかわらず、
また、ほら、逃げようとするんだ。
だから、嫌気がさした。
知ってる。
向こうで過ごしてきた日々にまた、戻りかけているということに。
「ありがとな。サンジ」
「だからっ!!」
頭に載せた手が払われる。
「弱音の吐き方、知らないんだ」
「っ!!!!」
「じゃあな」
「まっ!」
伸ばした手は、彼に届かなかった。
そう。
彼の伸ばした手が、赤い髪に届かなかったように。
「さてと。どうしたもんか」
不思議なシャボン玉を通り抜けながら、
独り、当て所もなく歩く。
当て所もない旅は、今も同じなのに、
独りと独りじゃないのとでは、こんなにも違うものなのだろうか。
「やっぱり、下手糞、なんかな・・・。なあ、シャンクス・・・」
出来ないことは出来ないと。
だから手伝ってくれと、素直に叫びまくっていた変体。
お前がいなきゃ・・・。
なんて、恥ずかしい言葉を何回も吐いてくれた。
だから、しょうがないなとか、一緒にいたかったのは自分の癖に。
とりあえず、金物屋で、目的の針を何本か購入した。
普通の金物だが、人に刺さればそれなりだろう。
後は、銃かな。
「俺、またあの船に乗せてもらえるかな・・・」
なんて考えながら、
手に馴染む銃を2丁、そしてホルダー。
「拝み倒すか」
彼らが今日の事など、なんにも気にしてない事。
それ以上に彼が必要とされていることなど、
が露ほども知らず、店を出た瞬間だった。
銃声が鳴り響いたのは・・・。