「あ、すみませ・・(ぎゃぁぁぁぁ!!)」
「なんだ?お前」
「いや、通りすがりです。
すみません。ほんとすみません。それじゃ・・」
「ちょっと待て」
「なんでしょうか」
もう既に、おっさんハンティングフェロモンは無くなったはずなのに、
何故、何故なんだ。
早く逃げたい。
「病院どっちだ?」
「ふぇぃ?」
頭に手を置いて、
いつ攻撃が来ても言いように身構えていたは、
あまりの恥ずかしさに、
意味の分からない言葉が口から漏れた。
「病院、ですか?」
「知ってんのか知らねえのか」
「知ってます知ってます。だけど俺今、町を見に来たばっかりで・・」
「はあ?」
「すみません!!今すぐお連れします!!」
「なんだ?連れってくれんのか。見に来たんじゃねえのか?」
「はい?」
まったくもって話が噛み合わない。
なんだか分からないが、
とりあえず町を見回る許可を貰ったと思って良いのだろう。
大夫と怯えながら、とりあえず踵を返した。
「何処行くんだ」
「いや、決めてないんでその辺をぶらぶらと・・・・」
「しょうもね」
後ろから着いてくる狼。
あの猫といい、ホントに話を聞かなかったり、
否定しかしなかったり。
なんなんだCP9。
そうか。餓鬼か。
「そういえば、なんで迷子に・・」
「迷子じゃねえ!!
ちょっと帰る場所が分からなくなっただけだ!!」
「はいはい。それを迷子って言うんですよ」
「餓鬼扱いすんなくそ!!」
年がいくつか知らないが、
自分もこんな風だったのだろうか。
まるで、追いかけてくる捨て犬のようだった彼と、
肩を並べて歩く自分が至極おかしい。
おかしいけれど、分かった瞬間強気になれる。
単純って最高。
「えっと、名前、聞いて良いか?」
「なんで教えなきゃなんねんだよ」
「あっそ。じゃあ、ワン公って呼ぶな」
「呼ぶな!!」
「呼ばれたくなかったら名前教える」
「っけ。ジャブラだよ。覚えとけ」
「じゃあ、ジャブラ。病院に帰るか」
「おう」
「やっぱ犬だな」
「ちげえ!!」
子供の扱いになれているつもりはないが、
いつまでもあの、おっさんハンティングが出来る年ではない。
子供でいすぎて、ちょっと戸惑ったが、
本来の年に戻ったのだから、
あんな風に、
フェロモンを利用する生活からはおさらばだ。
「お前も・・え・・ろよ」
「なんて?」
「名前だよ名前!!」
「嗚呼。。」
「変な名前だな」
「五月蠅い」
「速く歩けよ」
「はいはい」
さて、明日は足を何とかして見付けないとな。