「腹減った」

「もうすぐだから我慢しろよ」

「お、あれ食おうぜ」

「我慢しろって。な?」

「がぁぁぁ!!」

「お前はおやつのお預け食らった園児か」




頭をぐしゃぐしゃにしながら、

とりあえず、水飴屋さんを通り過ぎる。

直ぐ其処に見えてきた白い建物が病院だ。






「饅頭は買えないからな」

「ちげえ!!」

「ごめんごめん」

「撫でんな!」




髪の毛をぐしゃぐしゃにすればするほど、

いちいち結わいなおすジャブラが面白すぎる。




「お前、なんなんだ?」

「は?」

「海賊・・・じゃあなさそうだろ?
海軍は絶対にありえねえ。だがこの町の人間でもねえ」

「・・・・・・」




海賊・・・・だった?




「あー・・・・放浪者って事で」

「なんだそりゃ」

「ほら、着いたぞ。病院」

「おっおう」




さて。子供のように悩んで落ち込んでばかりはいられない。

俺は、なんであろうと、彼奴を追いかける。

そんで何発かぶん殴る。

俺に涎とか鼻血とか付けやがって。





「ジャブラ、遅かったの」

「迷ってたんでしょう」

「ちげぇ!!」

「そうだろ?」

「黙れ!!」

「はいはい。よしよし」

「すんなっっ!!」




「あら、さっきの」

「ジャブラを連れ帰ってくれたんだあ。ちゃぱぱ」

「いやいや、拾っただけだから」

「めちゃくちゃ怯えてただろ」

「はは。それは言うなよ」

「まだ動いちゃダメだ!よよい!!」




叫びと共に飛んで来たドア。

今、頬擦ったぞ!!




「ルッチ。まったく。世話の掛かる子供じゃ」

「五月蠅い」

「じゃ、俺、治療費とか払ってくるから」

「おう!、助かったぜ」




気付いてないとはいえ、

近くにいるのは、何やら危険だと思ってしまう。

あの顔だからか。

いやいやいやいや。

それは失礼すぎるだろう。

そんなことを考えながら、

普通にルッチの隣を通り過ぎようとしたは、

立ち止まらざるを得なくなった。

掴まれた服の裾。

見下してくる豹。

嗚呼、そんな潤潤な瞳で俺を見るな!






「なんでしょう?えっと・・・?」

、何故お前が此処にいる。このような格好で」

「(誤魔化し利かない感じですか?これ)」

「お前が小さかろうが大きかろうが良い。
あの時、背中を押したお前が、何故此処にいる」

「それは、まあ、俺にも分かんねえんだなあ。これが」

「ルッチと知り合いだったの?」

「まあな。さっさと追いかけろ。あの変態を

「その為の金と脚は何処にあるって話だよ」

「?」

「餓鬼の格好をしてれば許されたこと。
餓鬼じゃないから考えて出来ること。あるだろ?」




臆病と言えばそれまで。




「ならさっさと着いて来い」

「え、おい、ちょっ!ルッチ怪我治ってねえんだろって聞けよ!」