列車に乗って、見た事のある街へ降りたって、
ぼろぼろになっている街中を歩いていく。
「随分派手になってんな」
「・・・・・・・・」
「どうした?ルッチ」
ふと、青ざめて止まってしまったルッチをのぞき込む。
この世の終わりのような表情。
俺が大嫌いと笑顔で言った後のシャンクスのようだ。
とりあえずこんな道の真ん中で止まると、
絶対に迷惑が掛かると思う。
「おいルッチ、どうしたんだよ。俺に言ってみろ?」
は俺達がこれをやったと知らない。
知られたらどうする。
呆れられるか。
嫌われるか。
「何を心配してるか知らねえけど、
血塗れのお前を俺は見てんだから、何を聞かされようが今更・・」
「はっ!!」
「は?」
そうだ。
此奴は血塗れの俺と、
そこら辺に転がっていた雑魚供を見ても、
まったくもって動揺すらしなかった。
其処に惹かれていたのを忘れるとは、
俺とした事がなんたる失態だ。
自分ではっとか、
ルッチ、お前、何に感染したんだろうな。
気にしない方が幾分も良い事を知っているは、
その疑問を一瞬にして脳味噌から抹殺したが。
「なんでもない行くぞ」
「おう」
目の前に見えて来た記憶に新しくはない小屋。
さて、どうやってあの船長に説明するかな。
「なあ、船まだ出来ねえのか?」
「ちょっとは静かに待てないの?」
「腹減ったあ」
「あんたねえ!!」
「ナミさん、まあ落ち着いて、紅茶でも如何ですか?」
「ありがとサンジ君」
「おいサンジ、腹減ったぞ」
「さっき食ったばっかだろうが。我慢しろ」
「ええ〜〜〜!!!!」
「ロビン、どうしたの?さっきから外ばっかり見て」
「CP9が歩いてくるわ」
・・・・・・・・・・。
「なんですってぇぇぇぇ!!??」
「倒したんじゃなかったのかよ!」
「猫野郎か!」
「そうみたいね」
扉の前で礼儀正しくも止まったCP9。
と、知らない男。
ノックされたドアが、死への誘いのように響く。
「居留守使いましょ!」
「窓は思い切り開いたままだけれどね」
「(嫌われてんなあ)」
「なんだ」
「いや、やっぱ顔かなと思ってさ」
「(顔が好みでないだと!!??)」
「(これは明らかに話が通じてない顔だな)」
「どうすんだよ船長!」
「俺がもっかい叩きのめす!」
「何言ってんの!ぎりぎりだったでしょうが!!」
「あのさ」
「ひっ!!」
「お邪魔したいんだけど?」
「あんた誰?」
「・・・・・・・とりあえず」
「とりあえず?」
「入らして貰えないかな?」
ルッチに対する視線が痛すぎて、
耐えられなくなったが発した、
切なる願いだった。