気まずい。

何がって、今まさに、シャンクスと2人で街中を歩いているこの状況が気まずい。

活気のあふれた雰囲気とは正反対に、

どんどんと空気が重たくなっていく。

軽口すら、出てこない。

がこのような状況に陥った経緯を知るには、少し時を遡らねばならない。








それは、エースと白ひげに別れを告げて、

レッド・フォース号が新たな航路をとっている船の上での出来事だった。





「ミホーク・・・・・」

「調子は戻ったようだな」

「・・・・ごめん」

「かまわん」

「また、会ってくれる・・・よな?」



返事の代わりに頭をなぜられて、金眼の鷹を、は見送っていた。

隣で煙草をふかしている参謀の、視線がささる。



「次は、分かってるな?」

「・・・・・・・・・・・・やっぱりダメ・・・」

「ダメだ」

「・・・・・・・・でも・」



「ワカリマシタ」



実を言うと、あの戦争時、胸を借りて大泣きしてから、

はシャンクスと顔を合わせていない。

自分が大層気まずくて、避けていたというのもある訳だが、

たったそれだけで、この船と、あの島で、それが1週間も叶う筈がない事を、

はよく知っている。

ということは、向こうも自分を避けてくれていた。ということだ。

さっさと元の雰囲気を取り戻して来いというのが、参謀のお達し。



足どり重く、シャンクスの部屋へと向かう。

部屋にいる事は、先程、ヤソップが確認済みだ。

そして、自分が行くまでそこに足止めもしてくれている。



「(何を気負う必要があるんだよ。ああいう状況だったんだ。致し方ない・・・)」



こんな大人がみっともなくゴメン。

これからは気を引き締めて頑張るから。と言うだけで良い。

などと割り切る事が出来れば、どれだけ良かっただろうか。

シャンクスの部屋の前で、談笑をするヤソップと眼が合い、

やーっと来たかと、瞳で語られる。



「シャンクス」

じゃねえか!久し振りな感じすんな!なんだ?なんか用か?」

「あーーーー」

「用がねえなら行くぞ?」



自分が塞いでいる筈の扉を強引にくぐろうとシャンクスが席を立つ。

顔は笑ってくれているが、雰囲気がやっぱりおかしい。

それをなんとか腕に力を入れて阻止すれば、さらにその笑顔が深くなった。

後ろでヤソップが溜息をついている。

溜息つきたいのはこっちだよ。

1週間ぶりのシャンクスとの会話が既に終わりそうです。

ベック、助けて。

そんなの思いが届いたのか、島が見えたぞーーーー!!と、

クルーの声が響いた。



「かっ買い物付き合って!!欲しいなーーーなんて・・・・」

「買い物?」

「お頭行って来いよ。が帰って来てから、碌に外出してねえだろ?」

「まあな」











と、なんやらかんやら、

断られそうになるのをヤソップに無理矢理押し出される形で、

上陸して、今である。



「欲しいものがあるんじゃねえのか?」

「いや、まあ、そうなんだけど」

「武器か薬品系なら、オレよりもベックの方が適任だっただろ」



あーーーー。とか、うーーーー。とか、

なんの返事にもなってないの言葉に、少しは調子が戻ったようだと安堵する。

戦争に向かわせた事を悔いた。

自分の腕の中で泣くを見てから、

守らなければと、思っていたのに、

泣かせてしまったという自責の念にずっと、駆られていて。



10年前、手放していた最愛の息子が、成長して帰って来たのだと、最初は喜んだ。

ただ、違った愛が、自分の中で頭をもたげている事を、否定した。

全力で。

涙を流すを、其の腕に、抱いたあの瞬間に、

脆くも否定していた想いは、肯定されることになったのだが。



シャンクスは、今一度自分に問うて、そして、1つ、溜息をこぼした。



好きという事