「何処で何をしていた。あれから随分探したんだぞ」
「ごめっ・・・・」
ひとつのラブストーリーの最終回の様なシーンが、眼前で繰り広げられている。
自分よりも身長の高い男を抱きしめ、
その手は男の頭に伸び、泣きじゃくるそいつを慰めまでしている鷹の目。
どっちも男だよな・・・。
1人はしかも、強面、むしろ無表情、無頓着で有名なあの、あの鷹の目だ。
俺は頭でもおかしくなったか??
「俺も色々あってさ・・・あれから目、醒めたらどっかの病院で・・・」
「そうか」
「気付いたらおっきくなってて・・・って、その理由も色々・・・・・」
「もう良い。無事で何よりだ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今、コイツ、何て、言った?
「俺は今、七武海として召集を受けている」
「なん・・・で?」
「ポートガース・D・エースの公開処刑。白ひげに備える布陣にだ」
あまりにも、唐突過ぎて、頭がついて行かねえ。
「エースが・・・処刑?は?なんだよそれちょっと待・・っ!!!!」
鷹の目の話を聞いていた男の涙が止まった。
いや、そうゆう事じゃねえ。
「無理をするな。傷が開く」
「無理なんて承知だ!ルフィもくまに飛ばされて、あいつも何処行ったか分かんねえのに!!」
「それは俺の知るところではない」
「エースを助けられねえの!?」
っていうか、こいつが??
まさかな。
なんかの聞き間違いだろ!!
はは。昨日は酒、そんなに飲んでねえぞ?
俺も年食ったなーーーー。
「、俺はこれでも政府側の人間だ」
「そんな事言ったって、エースは・・」
「ちょっと待て!!!!!」
「黙ってろこの変体!!今大事な話なんだよ!!」
「着いて来い。」
「ミホークも話聞け!俺はエースの処刑とか許さねえし、何より・・」
「だあかあらあちょっと待てって言ってんだろ!!!!!」
「行くぞ」
「待てよ!!!!!」
「急を要する」
「俺の質問に答えてから行け!!」
「何の話だ」
自分を挟んで行われる言い争い。
なんなんだこの状況は。
いてっ。骨が軋む。
俺の話じゃねえのかよ。
まじで頭逝ってんじゃねえの?
涙で顔はぐしょぐしょだし、なんでか両腕とも親父に握られてるし、
嗚呼・・・・もう・・・。
「黙れ!!!!!!!!!!!」
ごつんっ!!
「シャンクス?黙れとりあえず。今話してる最中だし、うざい。
ミホークも乗せられんなよ。良い年した親父が人挟んで言い争いとか、見苦しいだろ」
頭にこぶをつくり、良い年した親父が、
説教をくらって影を背負っている。
うざいとか見苦しいは言い過ぎたかな?
いや、そんな事はない。
こいつ等が全て悪い。
「・・・・なのか?」
「変わっちまって、分かんなかった?ベン」
「おま、18じゃないのかよ!なんだなんだこの身長は!!」
「俺にも色々あったわけ」
「ま、俺は超えられてねえけどな!!」
「ルウまで超えられる人間はそうそういないと思うぞ?」
「ちゃんと、食ってはいたようだ」
「カルヴァドス、心配しすぎだって。順当に年食ってても、18だぞ?」
「知らぬ間にの全裸を見とったのか!!」
「そこ!!????」
10年ぶりの再開が、彼らの空気をあたたかくする。
でかくなり過ぎだろ!!
とか、事情があってさ。
なんて、嗚呼、夢にまで見た、俺が考えていた、
普通の再会だよ・・・。
だがしかし、そんな空気が長く続くだろうか。
いや、続かない。
なんせ此処は、あの変体の船なのだから。
「ちょっと待て待て待て待て待て!!!!!!俺を置いて話を進めるな!!!!!」
「、行くぞ。こいつ等の相手をしていたら日が暮れてしまう」
「ミホーク、俺は・・」
「そうじゃねえ!!なんで白ワンピ着てねえんだよ!!!!」
一瞬の間。
真剣に答えようとしていたの顔は、
ゆうっくりと笑みを貼りつけ、
その手に握られた2丁の銃の引鉄に指がかかり、
かちんっと音がして、火を噴くまで、後・・・・・・。
始まりを告げる血飛沫