差し込む光に、ぐっと背を伸ばす。

ずきっと痛んだ背をさすりながら、は起き上がった。

幼いころに使っていた、10年前となんら変わらぬその部屋で。

まだ、そのままにしてくれていたのかと、感動する間もないまま睡魔に襲われた昨日。



「懐かしいな・・・」



自分にとっては一瞬だった筈の10年の時。

が夢見心地の頭をゆっくりと覚醒させていると、ノック音が響いた。



、起きてるか?」

「起きてるし、空いてるよ」



ドアが開いて、参謀が顔を出す。



「・・・・・・」

「どうした?」



健康的に焼けて、引き締まった身体。

首元でゆれるチャーム。

細身と言えど、筋肉の適度に着いた腕と脚。

おそらく着替えようとしていたのだろう。

下着にシャツを羽織っただけの姿は、ノーマルな自分でさえ、欲を感じそうになるくらい。



「ベン?」

「いや・・・」

「らしくないな。ホントにどうしたんだ?」



苦笑しながら、自分を見上げるの姿を食い入るように見つめて、

ごくりと生唾を飲んだ自分自身の思考を追い払う様に、ベン・ベックマンは頭を振った。



「本気で行くつもりか」

「行く。何かしようとかじゃなくて、会いたいだけなんだ。俺が」

「ヘタしたら、殺されるぞ」

「大丈夫だよ。多分だけど。ミホークもいるし」

「言い出したら聞かないのは、昔からだったな」

「我儘許してくれる保護者で助か・・」



ばたんっっ



ノックも何もなく突如開いた扉。

立っているのは、勿論トラブルメーカーで。

自分の名前を呼ぼうと開いたのだろう口からは、何の音も出てこない。

代わりに口をだらしなく開けたまま、じろじろと自分を見やってくれる赤い髪。



「ノックくらいしろよ」

「・・・・・・・」

「どうした?お頭」

「・・・・・・・」

「お頭?」

、発てるか?」

「ミホーク!ゴメン!すぐ着替えるから」



その後ろから金眼が顔出す。

朝一で出航すると昨日話していた筈なのに、ゆっくりし過ぎた。

急いでズボンに足を通し、ブーツの紐を閉める。

シャツの前は肌蹴たままで、小さな小さな自分の荷物をひっつかんだ。



「じゃあ、ビブルカードも持ったし、行ってくるよ」

、念のためだ。電伝虫持っていけ」

「え、有り難いけど、良いの?」

「当たり前だ。気をつけろよ」

「必ず帰ってくるから」

「待ってるぞ」



息子を送り出す時のように微笑んで、ハグをした。

身動きしないシャンクスに、怪訝な表情を向けながらも、

行って来ますと手を振って走り出して行く

数秒経って、呆れたように溜息をついたベックマンは、我らが船長に声をかけた。



「欲情したんだろ。のベッドは使うなよ」




皆まで言うな