頭の中を整理するのにしごく時間がかかったように思う。

ただ、男だからなんて微塵ほども気にせずに、涙を流しているその思い出と、

見つめ合っていた時間はおそらく数秒だっただろうに・・・。



「時間だ」

「エース」

「?」

「信じてるから。俺は、お前の事、大切な弟だと思ってるよ」

「血のつながりがあるのか!?」

「ある訳ないだろ?それは世界政府や海軍が一番分かってる筈だ」

「っ!!」



「分かってる」



血の繋がりなんて、そんなものは関係ない。

そう、口にはせずとも、この世の全ての愛しみを凝縮したような笑顔をむけられれば、

思わず、赤面せずにはいられない。

拭われぬ涙が、踵を返したの足跡を残してくようだ。

降りて来た時と同じ様に、重たい音を立てて、エレベーターが昇って行くのを見届けた。



「エースさん・・・あれは・・・」

「オレの、大事な、兄貴だ」



フーシャ村で、隣に立っていた時から、どこか大人びていたように思う。

今ではもうおぼろげなその記憶を手繰り寄せれば、

はきっと、オレの、小さな願いを知っていたのだろう。

聡かった彼が、自分の生きられるパーセンテージを知らぬ筈がない。

それでも、それを伝えるためだけに、こうして・・・。



「ばかやろう」












「気が済んだか?」



船に戻り、涙を拭って、前を向く。



「ひとまずね」

「これからどうする」

「え?本部に向かうんだろ?」

「お前はそれで良いのか」

「良いか悪いかで言えば、よくないけど、でも、俺に出来る事はそれくらいだから」



見届ける事。

そして、機会があれば動く事。

無鉄砲でなくなった今、命を粗末にするような事は、自分には出来ない。



「エースは大丈夫だよ」

「無責任な事を」

「いや、白ひげもいるしさ、実際分かんな・・」

「俺が負けると?」

「ミホークは負けないけど、シャンクスとは戦わない。だろ?」

「・・・・・・・違いない」



どうゆう結果になるにしろ、おそらくシャンクスがかかわり、

この戦争が終わるなら、最後の最後にミホークは剣を仕舞う。

自分の思考を読まれたことに少し腹を立てたのか、

むすっとしてそっぽを向いた道連れに、笑顔で謝罪を述べる。




顔を見られて良かった。

最初は死にそうな顔だったけど、一緒につかまってたあの魚人さんとか、

エースを愛してくれてる人はたくさんいる筈だから。

ルフィに仲間がいるように。

だから、大丈夫。

俺も、出来る事を、しなければ。




「進路を変えよう」

「ん」




ウォールフラワーの花言葉