いや、海軍本部に行くってどうゆう事か分かってた筈なんだ。

ごめんなさい。

分かってませんでした。

逃げたい。今、すごく逃げたい。



「なんでこいつがここにいるんだよ!!こいつはムギワラんとこの優男だろうが!!」

「我の道連れだ」

「部外者を連れ込むなんて何やってんのよ。鷹の目」

「おれはこいつに・・じゃねえ!こいつらに殺されかけたんだぞ!?」

「弱い者の事など知る由もない」



なんて、言い争いがかれこれ、食事が始まってからずーーっと繰り広げられてるもんで。

なんか、俺的には、部屋かなんかがあてがわれているものだと思ったから、

其の部屋から出ずに、戦争に着いてくだけ着いて行こうと思ってたのに。

七武海も大将も揃う食事会なんかになんで同席してるんだ?



「ミホーク、俺、部屋に戻ってて良いかな?」

「まだ、夕餉を食していないだろう」

「おもしれーもん見れるんだ!其処に座っとけよ!!」

「はい、ドフラミンゴさん適当な事言わない。ミホークも、部屋で食べるし俺。な?」

「鷹の目えええ!!!誰が弱いか言って見やがれ」

「ろくに飯も静かに食えぬ、図体ばかりでかいお前の事だが?」



よし。今だ俺。

モリアが能力を出し始めて、オツルさんが宥めはじめて、

てんやわんやになっているのを良い事に、はそっと広間を抜け出した。







「なんなんだよ。強い奴らってのは皆あーなの?」



誰に問うでもなく言葉を宙へ投げる。

海軍本部の建物を出て、長い一本道をつきあたって右。

本部にいる間の住処だ。

夜も耽ったその路には誰もいない。

鼻孔をくすぐる風が冷たいように感じる。

その住処に近づくにつれ、物凄く聞き知った、せんべえを齧る音が大きくなっていった。



「ガープさん・・・・」

「おお!!!!!ここにおれば会えると思ったんじゃ!せんべえ食うか?」

「いや、胸一杯です」

「お前も色々あったんじゃな」

「色々で済ませられるところが、あなたの大きさですね」

「年より褒めてもなんも出んぞ!!」



小さいころを知っていた。

色んな事を知っていた。

夜には響き過ぎる、豪快な笑い声がやんで、真剣な両の目が、をとらえる。



「何かしようとしとるなら、ここで捕えないかん」

「それはじゃあ、貴方も一緒に牢屋に入っておくということですか?」

「口の減らん男じゃな。もっと小さい頃は可愛げがあったぞ?」

「あの頃の話は止めてもらってもいいですかね・・・」



「俺は、救いたいとか、そんなんじゃないんです。出来れば生きていて欲しいけれど、
今更何を言ったって、俺1人で抗える力なんかじゃない。でも、何か出来る時がきたなら、します」

「エースも幸せ者じゃな・・・」



小さいころの思い出を身につけて、旅して。

首にぶらさがっているそれを指で弄ぶ。

その優しい微笑みが、彼に生きていて欲しいと、本当は自分も思っているという何よりの返事だ。



「明日。ですね」



護送船は、既に着港していると聞く。

会いには行けぬだろう。



「とゆうか、よく俺をいれてくれましたね。一応、赤髪海賊団のクルーなんですが」

「鷹の目がな、お前を入れんと戦線から離脱すると言いおった」

「親馬鹿です。ミホークは」

「あいつの戦力をみすみす逃すのは惜しい」

「でしょうね」



明日、俺は何処にいる事が出来るだろう。

ミホークの傍かな。やっぱ。

忙しくなりそうだ。心的にも、身体的にも。



「また、明日」

「ああ」



大きな背中を見送って、住処の扉をあける。

上着と靴を脱いで、はベッドにダイブした。



「(少し、疲れた・・・・)」










いつの間に眠ってしまっていたのだろうか。

意識を取り戻すと、隣にミホークの背中が見えた。

そろそろ夜明けと言う様に、空が明るみ始めている。

シャワーくらい、あびなければ。

身体の震えを、止めなければ。

ぎしりと音を鳴らして、立ちあがろうとしたは、腕を掴まれた勢いで、ベッドに再びダイブした。

勿論、この状況で、の手を取れるものは、1人しかいないのだが。



「落ち着け」


小刻みに震える手に気付いたのだろうか。

分からない。

背中に感じるぬくもりと、心に響くテノール。



「何を怯えている」

「・・・・・俺は、弱虫なんだ」

「泣くな」



何時間もしないうちに、戦争が始まる。

頭に残る邪念を打ち払う様に、は、あたえられるぬくもりを、

ゆっくりと、享受した。




ノクターン