「で、これからどうするんだい?」
とてつもなく凄まじい戦いで高揚した頬とか、
あがった息とか、昂ぶった色んなものとかを押さえ込みつつ、
とりあえず出血多量で死なないようにと、
クロノスに両人とも飲まれたのは数分前。
珍しくも、こんな風に、
他人に意見を求めるなんて事しなければ良かったと、
ばびゅんっとオノマトペが付きそうなほどの勢いで、
いなくなったクロロのほうを向いたのは、
台詞を発した数秒後の事。
「ボクは旅団員じゃないから、彼らに報告してあげる義務はないね★」
俵担ぎにされたが、
助けてと叫んでいた事やなんかは。
けれども、が彼と2人きりになる事は、まったくもって面白くないわけで。
にやりと彼特有の笑みを浮かべた後、
携帯電話をプッシュしたのだ。
「やあ◆」
『・・・・・・・』
ぶちっ。
「酷いじゃないか★」
『どうしてボクの携帯知ってるの?』
「の携帯に入ってたからね◆」
『あそ。じゃ』
「いいのかい?そのの事についてなんだけど?」
ホームでは、珍しく、本当に珍しく鳴り響いた、
の母役、基、コルトピの携帯に皆、興味津々だ。
向こうがざわめき出すのが判って、
ヒソカはより一層、笑みを深くした。
『で?』
「今さっきクロロとの戦いを終えてねvv」
『よく殺し合いにならなかったわね』
『まあ、が見てるからな』
『なるほど』
「クロロがを拉致って行っちゃったよ★」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ばったん。
どっかん。
がらがら。
がしゃん。
きぃぃぃぃぃぃぃっ。
どうんっ。
『あれ程気をつけろって言ったのに!!』
『明日の新聞の見出しはけていね』
『幻影旅団団長少女を強姦ってか!?』
『冗談に聞こえないわよ!!!』
『許せない・・・・・』
『デメ出す前に居場所の特定だろ!!』
「面白そうだねえ◆」
『ありがとうとでも言っておいた方がいいのかな?』
小さな小さな彼が、携帯を握りつぶさんばかりに震えている事など、
知る由もなく、
とにかく面白そうな事は確かだ。
切れた電話を前に、またあのくつくつ笑い。
今からはククルーマウンテンに行く予定だ。
さあ、どう邪魔してやろうか。
「あたしの携帯・・・・・・・」
「電波を受信されたら終わりだ」
「今の状況が終わりだと思うけど?」
床に散らばった無残な携帯。
ゴン達の連絡先を誰から聞きだそう。
の頭はそのことで一杯だ。
「ここが今日から俺達の家だからな」
「寝言は寝て言ってくれる?ホームに戻りたいの」
「折角2人きりになれたんだぞ!?」
「何、その嬉しがるのが当然だろう見たいな目」
つつつっと距離をとって、
目の前にクロノスを構える。
さあ俺の胸に飛び込んで来いと両手を広げるA級賞金首。
どこかで螺子の1本や2本や3本くらい落としてきたのではなかろうか。
はまた一歩後ずさった。
「アベンガネさん、念以外に何を取り除いたんだろう」
「意味が判らん」
「意味判んないのはクロロの行動」
「愛してると言っただろう」
いつだよ!!と心の中で突っ込む。
トリップ時にありがちな変態化が、どうして今・・・・。
そんな考え事を、
一応、威厳はほとんど損なわれていても、
A級賞金首達を統べる幻影旅団団長の前でしたのが運の尽きだ。
「嗚呼。。会いたかったぞ」
腰に巻きつく2本の腕。
さらさらの黒髪は、何故か自分の目線よりも下。
右手がつつっとさがってこれば、
まじな爆発5秒前。