「あれも良いんじゃない?」

「この浴衣は買いだね」

「たまにはこうゆうのも着てみたら?」

「もう着れないよ」

「まだ3時間しか経ってないわ?」

「体力無くなったんじゃない?」

「3人さ、さっきも買い物行ってなかった?」

「関係ないでしょ。ほら、この着物も着てみなよ」




もう少し、体力が回復している時に此処に来るんだったと、

後悔してももう遅い。

次から次にわき出てくる服を着ては渡し着ては渡し、

一体紙袋はいくつになっただろう。




「マチ、和服3着もいる?」

「もう一着くらい見繕おうか?」

「いっいらない!」

「でももうこんな時間ね」

「あたしお腹減ってきた」

「今日の夕飯何にする?」

も来たことだし、少し豪勢にしましょうか」

「だったら買い物に行かないとね」




の溜息を合図に、

全ての服を送って貰う手続きを済まして、

スーパーへと歩いていく。

本当に普通の家族のようになったみたいだ。

自然と笑顔になれる。




、何が食べたい?」

「パクの作る料理なら何でも良いよ」

「それが一番困るんだけど」

「じゃあお鍋とかは?」

「みんなでつつけるし良いんじゃない?」

「じゃ、そうしましょ」




籠の中に、人参、鱈、白菜と入れていく。




「久しぶりにの作ったスイーツも食べたいね」

「じゃあ、おはぎでも作ろうか?」

「良いね」




全ての材料を買い終えて、

家に帰ってみれば、ドアの前に置かれた服服服。




「やっぱり買いすぎだよ」

「備えあれば憂いなしでしょ?」

「シズク、それ、なんか違う気がする」

「ほら、早く作らないと御飯遅くなるよ」




並んでキッチンに立って、野菜を刻む。

蜘蛛のアジトにいた頃は、

静かとはいえ、なんだか寂しい感じがした。

けれど、笑って話ながら料理するのは、本当に楽しい。

向こう側で出来なかった、

家族らしいこと。

今更こんな事求めるのは間違っているのかもしれないけど、

やはり楽しいことに代わりはない。




「どうかした?

「ううん。嬉しいの」

「そう」




色々と考える自分にしては珍しい。

らしいなんて言葉を使うなんて。




「お鍋出来たよ」

「こっちも下ごしらえ出来たよ」

「それじゃあ食べましょ」

、それ持ってきて」

「お鍋はあたしが持つよ」

「御願いねマチ」




机に座って、お鍋をつつき合いながら、

他愛ない話に花を咲かせる。

デザートをゆっくりはみながら、

明日どうするかを話し合った。




窓から見える星や月を、

きっとみんなも見ているのだろ思える。

あの綺麗な光達は、ホントに何処だって変わらないから。

あたしを見守っていてくれる。