一度ベッドに入っても、
慣れない布団のぬくもりで、
起きてしまう。
そろそろ朝がやってくる。
次は、眠れるところにお邪魔しよう。
「!!」
「・・・・・・・・ゴン」
「起きたらいなくなってるから・・・」
「ゴメン」
「朝ご飯、もうちょっと待ってね」
「うん」
宝石のような、日の出。
眩しい。
少し、眩しすぎる。
「御世話になりました」
「後2,3週間いても大丈夫なのよ?」
「そんなにお邪魔するわけには・・・」
「ホントに1人で大丈夫?」
「大丈夫だよ。ゴン。有り難う。楽しかった」
波に揺られ、手を振りながら、
次に行く場所を想う。
「・・・・・・・何日拘束されるだろうな」
腕に抱えられたクロノスは応えないけれど、
少なくとも1週間。
長ければ・・・・・。
「考えないようにしようか」
そうした方が良いと、頷いた気がした。
ぴくりと感じた、避けた方が良さそうな気配。
けれども避けると、彼が海にぼちゃんだ。
朝っぱらから海に漂う、長い黒髪は見たくない。
直後、案の定、どしんっと背中に感じた重み。
「イルミ、何で此処に?」
「キルの友達の島、見てきた」
「嘘・・・」
「なんで嘘?」
「あたしも其処にいたから」
「嗚呼、船の上から見ただけだから」
「そ」
わざわざ船に乗って、その上から島を眺めて、
ただそれだけで帰ってくる。
なんて、ブラコン・・・・。
「それより、何、その荷物」
「みんなの借宿巡りツアー」
「じゃあ、ゴンの所にいたんだ」
「そう言ったでしょ」
ホントに、人の話を聞かない。
この黒髪美人は。
「次は?」
「ゾル家に行こうと思ってたか・・」
ばびゅん。
「・・・・・・・・・・・・イルミ」
「早く行こう」
「だからって・・・」
船旅なんて、あまり経験できるものではないのに。
「オレ、自分の船持ってるから」
「そうゆう問題じゃないから」
片手にスーツケース。
片手に。
宙を飛ぶ、暗殺一家長男。
「着いた」
速過ぎる事はこの際スルーだ。
「はい。御飯」
「いらっしゃい!姉様!!」
「久しぶりじゃの」
「キキョウは別荘にやってるからな」
「!久しぶり!!」
用意されていた、あまりにも豪華すぎる昼ご飯と、
待ちかまえていた、ゾル家メンバーに、
溜息をつくしかなかったのだった。