此処に来てから・・・・多分2週間。

御仕事もほっぽり出しての接客は、

最初の3日でお断りしたのだけれども、けれども。




、眠い」

「はいはい」




手を引かれるままにベッドにダイブ。

は、来た当初から変わらない。




「今日のおやつは?」

「何が良い?」



「イルミ」

「何でもない」

「で?」

「季節のフルーツゼリーシロップ仕立て、4種類のベリーソース添え」

「怒るよ?」

「・・・・・・・・・・・・・ホットケーキ」

「また?」

「ホットケーキ」

「ん」




さらさらの髪を手櫛で梳きながら、

うつらうつら。

あたたかい日差しと空気にうつらうつら。




「そろそろ次の所に行こうと思うの」

「ダメ」

「ダメじゃない」

「じゃあ、新婚旅行で回ってあげるから」

「要らない」

「イヤダ」




この我が儘猫はホント・・・。

けれども、執着してくれるのはとても嬉しい。

少しばかり、あたしを必要としてくれているんだなんて、

優越感に浸ってしまう自分がいる。

求めてしまう。




「ホットケーキ、何味にしようか」

「苺」

「ホイップクリーム」

「ピンクの」

「分かった」




抱き枕宜しく、胸板に押しつけられた顔。

こちらから彼の表情をうかがい知ることは出来ねど、

だからこそ安心する。

そこにあるヌクモリだけを感じていられる。




「また、来る?」

「うん」

「じゃあ、良いよ」

「ありがと」




呼吸が、睡眠のそれに変わってゆく。

此処にいる間、いつだって包んでくれていた腕。

次は、何処へ行こうか。

そういえば、金髪の彼はどうしているだろう。

キルアに聞けば、行き先くらい分かるかも知れない。




「クラピカ」




他の人の名前を呼べば、

険悪になっていく空気に気付かざるを得ないから。

まったく。

寝てるんだから寝てないんだか。




「イルミ」

「・・・・・・・・」

「イルミ、お休み」




上下する息づかい。

生きている、君。

呼吸が、重なる。

嗚呼、あたたかい。




「眠い・・・ね」




ゆっくりと閉じた瞼。

風が頬をなぜて、カーテンを揺らしていった。