次の日は、あまりにも普通にやってきた。
目が覚めて、ふと隣を見て。
「あれ?は?」
「知らねえぞ」
「え?」
「朝から消えやがった」
「それどうすんの!?ダメじゃん!!」
「大丈夫だぞ」
「なんで!?」
「其処に置き手紙がある」
枕元には、まるで、
サンタクロースからの手紙のように置かれた紙きれ。
『行ってくる by』
「何処へ!!!肝心な所書かれてないじゃん!」
「さあなあ?」
「もう!!」
携帯の番号も何も知らない。
しかし、帰ったとは考えにくい。
「それよりツナ」
「何?!」
「遅刻するぞ」
綱吉の叫びが朝の並盛りに木霊した。
「やってるな」
「」
「どうして此処に」
「お使いの続きだ」
「お使い?」
「そ、どうでもいいけど邪魔だよ。
相手ならこの男を咬み殺してからにして」
並盛り中学の屋上にはためく、
黒いコートと白い髪。
「跳ね馬」
「・・・・なんだ」
「お前にこんなプレイの趣味があったとは驚きだぞ?」
「そうゆう思考、変わってないな」
「凄く不愉快な誤解だね」
「お互い理解の上じゃないのはダメだ」
「ちょっと何勝手に攻撃しようと・・っ!」
ぐらりと倒れた身体。
また、支えられた。
「今日の晩、らしいな」
「そうなのか?」
「知らなかったのか!?」
「離して」
「手当はしないとダメだぞ?」
「ほっといて」
「こうゆうのほっとくと、出血多量で死ぬから聞けない」
見たことのない様な真剣な瞳。
本当に、しっかりしているのかしていないのか、
さっぱり分からない目の前の男。
だけれど、今、咬み殺そうとしている金髪の男も、
一目置いていそうな実力。
「」
「なんだ?えっと・・・雀?」
「恭弥だよ」
「恭弥、どうした?」
「ボクの修行、見ててよね」
「別に良いが、俺のお使いは綱吉の盗撮だから、夜は帰るぞ?」
「昼間だけで十分だよ」
「おい、俺を置いて話を進めるなよ恭弥」
「気安く名前を呼ばないでって言ってるでしょ」
むしろ盗撮の部分はスルーなのかと聞きたくなるが、
どうやら2人は、の言葉をスルーするというスキルを、
既に会得しているらしい。
腕の中から飛び出していったじゃじゃ馬。
何処かベルと似ている気がしないではない。
「恭弥」
「何?」
「おい!」
「エビフライ食べるか?」
「後でね」
「そうだな。今食べたら吐くな」
「修行を再開しても良いか?」
「俺に構うなんて跳ね馬らしくない」
自分の所為で修行が中断したとは、
欠片も思ってないが、
エビフライをかじる音が屋上に響いた。