「ところで、何処に住むの?」
「その辺かな」
「その辺?」
「何処でも眠れるのが特技だから」
「うん。それ、危ないから止めて」
周りの人達が。
「そうか?」
「俺達旅行に行ってる間、家使って良いから」
「優しいな。綱吉」
胡座をかいていても、
頭に手が届いてしまう。
撫で撫でとふわふわの蜂蜜色の髪を撫でられれば、
少しばかり恥ずかしいのか、
顔を真っ赤にした綱吉が其処に。
色々とメモに残して来はしたが、
やはり多大な不安を残すところ。
聞き間違いと方向音痴は、もう、救いようがないからだ。
何度も何度も、にこやかに手を振るを振り向きながら、
一応のバカンスへと旅立っていった。
「さて。暇だ」
おつかい内容は、ボンゴレ十代目候補、つまり綱吉の偵察。
最近やっと覚えた。
「メールも飽きたし・・・・」
嗚呼、そうだ。
「冒険に行こう」
うきうきとリュックサックに荷物を詰め、
弁当作りに取りかかる。
はてさてキッチンがピーな事になったかは、
また後日話すとして。
「凄いな特盛町」
知らないところ、知らないのは当たり前。
地図もなく、ただ歩く。
「林檎?」
「苺だよ。兄ちゃん」
「そうか。随分でかい人参なんだな」
「いや、だから苺だって」
商店街を歩きながら、
弁当を広げられそうなところを捜す。
とある公園を見付けて、ベンチにシートをひいた。
「いただきます」
「ちょっと君」
「ん?」
「誰に断って、ここで飲食してるの?」
「陰職?おへはぼうへんの真っはい中だ」
「食べ終わってから喋りなよ」
公園のベンチにブルーシートを広げて、
弁当箱を出している、
白髪サングラスの奇妙な男。
ほっとくわけには行かない。
のだが、思いっきり振りかぶって、飛んできたのは超スローボール。
「ヒバリ、ヒバリ」
「嗚呼、五月蠅い・・」
「それは?」
「懐いてるだけ・・・って、僕の質問に答えて・・」
「可愛いな」
「なにっっ!!」
いきなり腕を引かれて、
ぼすんっと、その男の胸に倒れ込めば、
自分の頭の上でごそごそと。
「ちょっと、なにす・・離して!!」
「え?飼うんだ」
「僕のだよ」
思いっきり、
ヒバードの首を締め付けて言うことではないと思うのだ。
「戻して」
「仕方ないな」
「頭じゃなくて肩にだよ」
「堅煮はここじゃ無理だぞ」
「咬み殺すよ?」
「咬み殺してから堅煮か?」
全く会話が噛み合ってない。
頂点に達したイライラは、そのまま能を伝って腕へと信号を送る。
トンファーで殴りつけたと思った身体。
一瞬、何が起こっているのか判らなかった。
「痛いのはダメだ。するなら優しくした方が良い
脳味噌や内臓が飛び出て、堅煮どころじゃなくなるぞ?」
「なっ!」
いつの間に背後に回られたのか。
脇から手を入れられて、持ち上げられていると判ったのは、
それから更に数秒経過してからだった。
「降ろさないと咬み殺すよ!!」
「分かった分かった」
「っ!!」
「ハンバーグ食べるか?」
差し出された箸にそのままかぶりついて、
赤くなりそうな頬を隠す。
まったく、調子を狂わせるばかりだ。
「まあまあだね」
「そうか」