「今日、お祭りあるんだけど、一緒に行く」
「祭り?」
「そう。来る?」
「行きたいな」
「じゃあ、行こう!射的とか、金魚すくいとか、面白いよ!」
偵察されているにしろ、
マフィア関係者だったにしろ、
根はいい人なのかも知れないと、
この頃思い始めた綱吉。
まあ、その思いやりが、何回も空回りしては、
周りを巻き込んで飛んで行くのだが・・・・。
「射的か。何を狙うんだ?脳か?心臓か?」
「只の人形だよ」
「ドールにされているのか。可哀相に。
撃ち殺してあげた方が優しいだろうな」
「ヤメテ。凄いヤメテ」
「なんだ?綱吉、だめだぞ?
ボンゴレのボスたるもの、これ位出来ないでどうする」
「だから俺はマフィアのボスになんかならないんだってば!!」
黒のワイシャツに黒のパンツ。
いつだって彼はこの格好で。
まあ、似合ってるから良いのだが、
やはり熱くないのかと思ってしまうのが性。
「どうした?俺の顔に銃弾でも飛んできそうか?」
「なんで!!??」
「サイレンサーでも気付くから大丈夫だ」
「こんな街中で銃弾なんて飛んでこないよ!!」
まったく表情を崩さずに、
そんなことを言いはなってくれるもんだから、
と居ると、溜息がとぎれない。
「見ろ綱吉、小さなバナナなんか売って儲かるわけないのにな」
「小さなバナナ?」
「チョコバナナと書いてある」
「うん。チョコレートが掛かったバナナであって、
ちょこっとのバナナじゃないからね?」
「そうか。日本語は難しいぞ」
「食べたい?」
「少し」
なんだ、可愛いところもあるんだ。
と、すたすたと歩いて行ってみれば、
見た顔が2人並んでいて。
「獄寺君と山本!?」
「10代目!!」
「綱吉、お前10体目って、サイボーグか何かだったんだな」
「違うから!!10代目だから!!」
「やっとボスになることを認めて下さったんですね!!」
「いや!そういうことじゃなくて!!」
「それよりこいつ誰だ?でかいなあ」
「それほどでもないぞ?」
「俺より何センチでかいんだ?」
「さあなあ?」
早速馴染んでいるに、
山本の天然と、のおばかさ加減の前には、
きっと誰も叶わないんだと、
綱吉はまた、大きな溜息をついた。
「10代目、この男、なんですか?」
「うん、今、居候中なんだ。えっと・・・」
そういえば、自分は、
この男がという名前だと言うことしか知らない。
マフィア関係なのは確かにしても、
一体何処のファミリーで、何をしているのかすら知らない。
「見知らぬ男なら俺が果たして・・」
「ツナ?」
「あ、この人っていって・・」
「って言うのかあ。どっか行っちまったぞ?」
「え?」
辺りを見渡しても、それらしき影も形もなく。
綱吉の絶叫が木霊するまで、後、数秒。