「ホント何処行ったんだろ・・・」
夏祭り以降、まったく姿が見えなくなった。
ゲームセンターの騒音の中、
何処か路頭で迷ってる気がしないでもない彼のことを思った。
いや、なら、
その辺にビニールシートを敷いて寝ていそうである。
「あいついなくなっちまったのか?」
「そうなんだ」
「もっと話したかったな!」
「あんな怪しい奴、ほっときましょう十代目」
元々気にくわなかったんすよ。
と笑いながら言いつつ、
あの時顔を見た位なのになあ。とか。
「でも、不思議な奴だったよな」
「不思議な容姿の間違いだろ。野球莫迦」
「そっか!」
引きつけられるような紅い瞳を隠して。
彼も、人を殺すのだろうか・・・。
「元気出せよツナ!またふらっと戻ってくるさ!」
「そう・・・だよね」
自分でもなんだか、そんな感じがする。
それが直ぐに訪れることになろうとは、思いもしなかったのだけれど。
「で、どうゆう状況だ?これは」
「俺に拉致られてんだぞ」
「リボーン。俺は帰らないといけないんだ」
「おつかいは終わりか?」
「兄さんとの約束は守らないとな」
「なんだ?約束って」
「嗚呼・・・あれだ、内緒」
ボンゴレの連中には内密にするんだよ。
響きが可愛らしくなってるんだが。
まあ、意味は違えていないから。
「あいつ、止めて来い」
「スクアーロ、少年を犯す趣味があったとは」
「大発見だな。逝ってこい」
「まったく・・・・」
少年2人を追いつめながら、
悦っている仲間を見つめる。
何をやってるんだか。
スクアーロが見つかったから、おつかいはコレで終わりだ。
ということは?
「帰らないとな」
すたすたと店先の方に行ったは、
ばきばきと看板を剥がして、そして・・・・。
どごっっっ!!!
思いっきり振り下ろされた看板は、
スクアーロに勿論ヒット。
「スクアーロ、溜まりすぎたからって、
2人の少年を一気にアオカンはいただけないぞ?」
「誰がだぁぁぁぁ!!!!」
「まったく。世話が焼ける」
がしっと看板に突き刺さったままのスクアーロを持ち上げて、
すたすたと立ち去る。
あまりの横暴さと、突飛さに、
ディーノも綱吉もバジルも、動けず仕舞いだ。
「降ろせえ!!てめえ!降ろせぇ!!!」
「スクアーロは餓鬼だな。大人しくしてろ」
「あいつの持ってるリングを奪え!!この役立たず!!」
「人のモノを盗るときは、気付かれずにやらないとダメだろう?」
そうゆう問題じゃない。
「!!何処行くの!?」
「帰るんだ。おつかいは終わった」
「てめえの兄貴もあれが必要なんだろうが!!」
「そうなのか?それは大変だ」
そう言って、すたすたとバジルの前にやってきた。
スクアーロは勿論、担がれたまま。
「ゴメンな。ホントは気付かれずに盗った方が良いんだが」
ひょいっと、バジルの持っていた箱を取り上げたは、
じゃあなあと笑って、何処かに消えてしまいましたとさ。