どちらが先に、駒を動かすか。

それが、ゲームの開始を意味していて、

これがゲームだと思っている莫迦を炙り出すのには、

十分過ぎるのだ。




「じゃ、よろしくね」

「分かりました」

「そういえばちゃんさあ」

「はい?」

「正式にこっちに来ること、考えてくれた?」

「貴方の思うとおりに」

「そりゃ良いや」




疑ってくれても、怪しんでくれても、

ちっとも心に響きはしない。

だから、どうでも良いんだよ。

黒い服に身を包み、黒光りする人殺しの機械を持って。

向かうのは、君の所。




「まったく、結局生まれたままってことか」




絶望するしか知らない。

だから怯えながら、盤上にすら乗ってない駒を、

動かしてくるんだよね。




様」

「こんにちわ」

「どうかなさいましたか」

「さあ。それは、君がよく知ってるんじゃないの?」

「はい?」




白だろうが黒だろうが関係ない。

白でなかろうが黒でなかろうが、

それも、一緒。

心の臓に、冷えたモノを突きつける。




「どうゆう・・・」

「恨むなら、ポーンにもなれなかった自分を恨みなよ」




2つの銃声。

2つの命。

彼奴等に、何を教えてくれる?




「あさりボスの所に放り込んであげて」

「御意」








冷たい冷たい駒が、帰ってくる。

どうして。

信じて、いたのに・・・。




「ツナ、これ・・・」

「偵察のために侵入してくれてた2人だよ」

「やっぱりあいつは極限けしからん!」

「でも、さんがやったなんて決まった訳じゃ・・」

「いや、これはの仕業だな」

「俺も、そう思います」

「どうしてそうだと思うんだい?」

「銃で撃たれた傷痕。違いますか?」

「その通りだ」

「そんなの全員同じじゃあ・・・」

「それだから考えが甘いんだよ。野球莫迦」




見れば分かる。

心臓から、少しもずれていないこの傷痕。

が・・・。




「どうして・・・」




どうして、なんて考えなくなったのは、

あの時からだ。

この、異常なまでの執着心を、

貶されようが、狂気じみていると言われようが、

それでも俺は・・・。




「やっぱり、さん、裏切ってたじゃない!ねえ、ツナ君!」

「さて、そう決めつけるのはどうですかね」

「六道君!?」

「楽しくなりそうじゃないですか」

「ちょっと、君は黙りなよ」

「今回ばかりは、こんだけ自分の目で見てんだ・・・」

「これで間違いないでしょう!」




勝手に自滅していると、思いこんでくれるでしょうね。

全てが盤上にいると思っている女王様は。