これは、なんだろうか。
自分の前に転がっている命。
嗚呼、本当に。
「ゴメンね」
貫いた銃弾。
どくどくと流れ出て行く、止めどない命。
瞳を閉じさせて、溜息をついた。
「あれえ?刺客?」
「そうみたいです」
「うん。マリアみたいで面白いね」
「まさか。此処に瞳の開きっぱなしの死体を、
転がしたままにするのはビジュアル的にどうかと思っただけですよ」
「そっかあ。じゃあ、処理させとこうか」
「お手を煩わせまして」
「気にしないで良いよお」
さて、あのオッドアイの言葉が真実か否か。
「キングに育てた。ね」
「なん・・・だって?」
「2人、また、殺されたって」
「何処で?」
「見張りをしてた人達」
「ボンゴレの敷地内って事?」
「今、霊安室にいるよ」
「弱い奴だったら殺されて当然だ。
そんな奴がボンゴレにいたなんてな。名簿からも抹消しとけ」
「リボーンちゃん!」
「ちょっと、1人にしてくれないかな」
どうなってるんだ。
こちらに攻めてきてまでボンゴレ側を殺すなんて。
これじゃあ、煽ってるみたいだ。
さんは一体何を考えて・・・。
「・・・」
扉に背をもたせたヒットマンが帽子をあげる。
歩いていく、あの女。
死体が此処で見つかった以上、
の動向を疑わざるを得なくなる。
だが、あの死体の冷えよう。
まあ、莫迦共を騙すには十分かもな。
「リボーン」
「なんだ?」
「あのさ・・・・」
「どうしたの?その紙」
「いえ、自分の事です。お気になさらず」
「離婚届?なんだ。ちゃん結婚してたんだ」
「籍を入れただけですから」
「へえ。じゃあ、オレのものになる?」
「私如き等に手をかけて頂かなくても」
その、自信ありげな笑いを、
きっとオレのものにする事は出来ないんだろうね。
あの女の賭にのったら面白いことになったな。
「そろそろボンゴレに奇襲かけようかと思ってるんだけど、どう思う?」
「時期的にも良いと思いますけど?
どうして私に其れを問われるんですか?」
「うん。ちゃんに特攻やって貰おうと思ってるからね」
「私はいつでも」
貴方の隣にいた時間が、そうさせてくれた。
やっと始まるのね。
貴方が仕掛けなければならなかった。
私が操るのじゃダメ。
貴方と彼奴の戦いでないと。
盤上にすら昇らない。
「それじゃあ、また声かけるね」
「いつでもお待ちしております」
これで縁は消えた。