「・・・・」
「久しぶり。隼人」
「お前、何処から・・」
「門からに決まってるでしょう?
壁を乗り越えるなんてそんな無粋な真似するわけがない」
「門には見張りが・・」
「以前私が殺した?」
「っ!」
こいつは、揺さぶって、楽しんでいるのか。
それとも・・・。
「十代目は、お前と、縁を切ったんだろ?」
「流石右腕。情報が早いね」
「なら!」
もう、関わらなくて良い、
泥沼にはまっていく君をもう、見たくないのに。
縁が消えた今、君を守る術は、1つだってないから。
「安置されてた遺体は俺も見た」
「そ」
「傷痕は明らかにが付けたやつだった」
「だろうね」
「」
「なに?」
余裕綽々というその顔。
嗚呼、やっぱり此奴じゃない。
「気を付けろ」
「心配性だな。隼人は」
「俺は・・・」
「昔と変わらず」
ただ、心配することしかできない。
「また、明日ね」
ミルフィオーレが奇襲をかけて来るという情報。
何処から流れ出たのだろう。
そんなこと、あのゲーム好きな2人の事を考えれば、
直ぐに分かりそうなものだ。
「追え!!そっちだ」
「山本!俺は向こうから廻るぞ!」
「了解っす!」
だけれど甘い。
甘すぎて、反吐が出そうになる。
後ろから追ってくるヒト。
「へっ。追いつめたぜ?」
「バット使いの癖して銃なんて操れるの?」
「俺は、変わった。変われたんだ!」
「それはそれは」
「笹川、泣いてた。謝るなら、俺は、許してやる」
「自分が許して貰うために?」
「っ!!、お前はもうボンゴレじゃない」
「ボンゴレになった覚えすらない」
すり抜けてゆく、
見つけ出したはずの答え。
謝っても許されないならどうすれば良い。
そう、思ってしまうから。
「でもま、浅はかだけれど良い答えだね」
「なんで、なんで殺したんだよ!!」
「ご主人の命令に従っただけなんだけど」
「嘘だ。は、絶対、なんか、考えて・・・」
まだ、信じていたい。
自分を、人にしてくれた人。
矛盾ばかりが交差して、
頭がパンクしそうだ。
目の前のは幾発か銃弾を受けていて、
地に落ちる紅い色が、
一層彼女の黒を引き立たせているようで。
「山本君!!」
「莫迦!!笹川は屋敷にいろって!」
「京子!伏せろ!!」
銃声が響く。
肉を抉る。
紅い色が舞う。
「!!」
「うん。うん。凄いや」
君が成長したのはきっと嘘じゃない。
引き金を引いた後、顔を引きつらせた君もそう。
なんて、なんて藻掻き苦しむ生き物だろうか。
「白なのか、紫なのか、分からない髪の毛」
「何を、言って・・」
「女王様の、服に付いた、ゲーム好きの、あの人の」
少し、血を流しすぎたみたい。
目の前が歪んでいる。
倒れるわけにはいかない。
立って。
自分の脚で。
走って。
自分の力で。
「!!」
叫びが、木霊する。