目を覚ませば、

真っ白な天井が拡がっている。

自分も生まれた時は、こんな所にいたんだろうか。






「何してんの?こんなトコで。仕事は?」

「それどころじゃ、なかったんだよ」




お前が、死ぬと思った。

今度こそ本当に、目を覚まさないと。




「心配、かけさせんじゃねえ」

「勝手に心配しといて押しつけがましいね」



「彼奴等どうなったの?
ゲームじゃないって事に気付いたかな?」




ヒトに、なったかな?

何かを記憶したかった。

父の顔も、母の顔も、

幼い頃の記憶も何もない自分。

女王様としてしか記憶されていないあの女。

ゲーム好きの主人だった男。

もう、顔すら思い出せない。




「隼人」

「なんだよ」

「隼人隼人隼人隼人」




初めて覚えた人の名だった。

次に覚えたのはリボーン。

つがいの名も分からない。

たったこの、2人だけ。




「失敗だなあ」

「おい」




ぽすりと、顔を埋めて。

この人達が認めたヒトならきっと、

覚えられると思ったのに。

どう過ごしたか、想い出もない自分の、

唯一の記憶は、

この2人の人の名前と、

人の殺し方。




唐突に開いた扉。

顔を出したのは、

着流しを着ただけの雲雀だった。




「嗚呼、君、起きたの」

「あ、雲雀さん。え?」

?どうした?」




また1人、増えた。

それが嬉しくて笑って、泣いた。

罪を誰かに被らせながら、

在りもしない自分の記憶を捜すあたしはきっと、

君達に心配される権利すらない。






「リボーンまでどうしたの?」

「どうしたのじゃねえぞ。
あの2人をどうするかはお前に一任されてる」

「そうなんだ」

「殺せよ」

「隼人?」

「彼奴等の所為でまたお前、死ぬかもしれなかったんだぞ!」

「どうでも良いんだ。彼奴等なんて」




そう。

ヒトとして成長していた君達に比べたら。




!」

がそういうなら良いんじゃないの?」

「おい雲雀、てめえいつからって・・」

「それより、話を聞きたい輩が溢れるほど居るから覚悟しなよ」

「おい!!」

「それは面倒くさい」

「とりあえず寝てろ」

「どうせ夕飯になったら起こしに来る癖に」

「獄寺」

「はい」

「此処にいてを見張れ」

「分かりました」




もう二度と、逃げてしまわないように。

開いた扉から外に出て行った2人。

また、病室の中には2人だけ。




「戻って来いよ」

「何処へ?」

「っ!」




10代目のつがいとしてか。

それとも・・・・。