「大丈夫か?京子」

「大丈夫だよ。お兄ちゃん」

「許せん!」

「私も・・・まさかちゃんがあそこまでするなんて・・・」

「俺が何とかしてやる!極限安心していろ!」

「俺も手伝いますよ」

「ありがとう」




点滴が、落ちる。

時を、刻む。




「・・・・・・どうか、したの?」

「何でもないよ!」

「沢田、お前も期待しているぞ」

「・・・・・はい」

「ツナ、とりあえず計画立てようぜ」

「雲雀にも強力を頼むか」

「はは。殺しでももみ消してくれますかね」

「・・・・・じゃあ・・・京子ちゃん、お大事に・・」

「うん!また明日ね!」




明日も、必ず来てね。

揺れる揺れる。

心が揺れる。








「・・・・?」

「何?隼人。今忙しいんだけど」

「なんでもねえ」




ぴかぴかと光る、デスクトップ。

淹れられた珈琲は、既に冷め切ってしまっている。

なんだか、学校を離れるの姿が、

纏う空気が、イタリアで見たそれに近かったから、

だから・・・・・・。




「やべえな」

「リボーンさん?」

「・・・・・・・・」

は負けませんよ」

の事は心配してねえぞ」




万が一にも、彼女が壊れることなど有り得ないのだから。

それは、共にトリガーを引いてきたから分かる。

分かりたくないくらいに。




「出来た」




笑ったの横顔を、見なければ良かった。








次の日は、朝から静かすぎるくらいに静かで。

いつもはある、への些細な虐めも、

その日は、奇妙なくらいに見受けられない。




「よ、

「おはよう」

「座らないのか?」

「座るけど?」

「今日の体育楽しみなのな!」

「そうだね。野球だっけ?」




気味が悪い。

喉に刃をかざしたままの会話。




「腕、大丈夫?」

「平気だよ。ねえちゃん、今日、
駅前のケーキ屋さん行こうって話してるの。一緒に行かない?」

「甘くないのもある?」

「珈琲ケーキならそんなに甘くないし、美味しいと思うよ」

「じゃあ、行こうかな」




見え隠れする白い包帯が、

紅く染まるまで後、何秒?

痛すぎるくらいの、迷い多き視線に耐えきれなくなったは、

一つ溜息をつくと、教室を出た。

その後を、蜂蜜色が追う。




「何か、話したいことがあるわけ?」

「・・・・・・・逃げ・・・ないの?」

「どうしてあたしが逃げなきゃいけないの?」

「京子ちゃんは、君を殺そうとしてるんだよ!?」

「だから?」




死は、いずれ訪れるもので、

まあ、みすみす殺されてやる気なんて無いけれど。

そもそも、この、殺人が非とされる世界でも、

殺意なんて、湧き過ぎて、止まらなくなるようなもので。




「俺は、誰かを殺すなんて・・・」

「死はね、何モノかに与えられるモノだよ?
病気、飢え、事故、人、神様。
ナニから与えられるか、選べないのが面白いんでしょ?」

「俺は・・・俺は・・・・」

「誰を、信じるか、決めた?」




その笑顔は、綺麗すぎた。

だから、かかった放送にまた、肩を揺らすしかなかったのだ。




『利害の一致ね』




それは、ずっと好きだった、彼女の声だった。