ざわめき立つ、学校。

訥々と、語られていくそれは、真実か否か。

ただ、女王様の周りのポーンが、壊れていく、音がする。




『利害の一致ね』

『それ、あたしにはメリットないよ。イヤなんだけど』

『真実を知って、裁かれる莫迦達を見るのは、利になるでしょう?』

『ならない。ま、でも、そこでまで言うなら』

『頭が良くて助かるよ』

『ただし、どうなっても知らないからね』

『責任を持てるくらいの人脈はあるから大丈夫』

『そ』




じじじじじ。

今まで、自分達の面白さのために、

手の内で転がしている筈だった、女王様。

転がされているのが自分達だったと分かったときの、

理不尽な怒り。




「京・・・子?」

「ちっ、違う!花!あれは私じゃ・・」

「ないっていうのかい?」

「雲雀・・・さん」

「あのシステムの解除方法を知ってるのは、君とボクだけ」

「・・・・ちがっっ・・・・」




やっと、優位に立てたと、確信できた矢先。

どん底に落とされる、気持ち。




「京子!これはどうゆう・・」

「お兄ちゃん!!わっわたし・・・」




そうだ。




ちゃんが、そう言えって!脅してきて!!だから・・っ!」




涙で、崩れた、

怒りを含む、真っ赤な顔。

ゲームから、降りたね?




「なんなんだよ・・・どれが・・・」




真実?




「それは、風紀さんが証明してくれるんじゃ、ないの?」




響いたのは、女王様の声。

逃がさないよ。

あたしで、遊ばせてあげたんだから、

それくらいの利は、返してよね。




「どういう、ことだい?」

「さあ?そこまで頭の悪いポーンでしたっけ?」




崩れていく。

ただのポーンが、崩れていく。




「京・・子ちゃん、ホントのこと・・教えて?」

「ホントだよ!!ちゃんにそう言えって言われ・・」

「いつ?」

「・・・・っ!!!」

「はは。酷いねあさりボス。君、ホントはSなの?」

「俺達・・・取り返しの付かないことを・・・・」




ポーンが崩れたら、




「悩めば?やっとヒトになったんだからさ」




面倒くさい、ヒトになる。

悩む。

苦しむ。

絶望、する。




!今の放そ・・・・じゅ・・・だい・・め?」

「だあから言ったでしょ?あさりボスの所へ戻れって」

「なに・・・を」

「絶望させてあげたんだから、感謝してよね?」




考えもしなかった只の駒から、

人にしてあげたんだから。




「やっぱりこうなったか」

「リボーンさん」

「救えなくて、不甲斐ない?」

「ちげえぞ」

「お流れのゲームなんて面白くないよ」

「また、忘れるんだろ?」

「そうだね。面白くなかったし」




名前を覚える必要のあるヒトなんて、

元々、いなかった癖に。

どうやって、記憶に残せって?




「どうやって・・・謝ったら・・」

「謝る?誰に?」

「だって、俺達はっ!」

「殴って、蹴って、挙げ句の果てに殺そうとして?」

「っ!」

「なんで、教えてくれなかったんだよ!」

「甘ったれんなよカス」

「なっ!」

「あたしが、あんた達を助けるメリットなんて何処にもない。
聞きもしない質問に、何故答える必要があるのかな?」




謝罪なんて必要ない。

悩んで、壊れて、落ちて。

あたしに見せてよ。