災難か幸運か、いや、やっぱり災難か。
10年バズーカなんて大嫌いだ。
「、、出てこいよ」
「おやつは机の上です」
「いや、マーモンがおど・・呼んでる」
「レモネードも机の上です」
「、オレ、死体になっちゃいそうなんだけど?」
「なって下さい」
「道連れに・・しねえ。しねえからマーモン殺気しまえよ」
「?」
「・・・・・・・・・・」
「?出てくる・・・よね?」
「ファンタズマは返しますから」
「出てくるよね?(じゃないと襲うよ?)」
「(なんか聞こえたぁぁぁぁ!!)」
嗚呼。10年バズーカの阿呆。
つか、あの阿呆牛いつか殺す。
「ベル、もう君用無しだから帰って良いよ」
「ハイ。カエリマス」
「今までのこと全部謝るから帰らないで下さい。ベル」
「・・・・・・・」
「オレ、自分のこと一番好きだしい」
「待ってよ!!」
思わず扉を開けて、
翻ったコートの裾を掴んだ。
いつもからかわれてきた彼でも、今は、今は救世主だ。
「?」
びくりと肩を振るわせて振り返れば、
自分よりも幾分か目線の高い、マーモンと目があった。
今では被られているだけのフード。
隠れていないその瞳は、自分を見透かしているようだ。
「マー・・・モ・・ン」
「さ、行こうか」
「ばいばあい」
「薄情者ぉぉぉぉぉ!!!!」
10年バズーカの故障で、此方にやって来て早数時間、
何故だかやって来た当初、彼は上半身裸にケープを手に持っただけ。
あっけらかんと、最中じゃなくて良かったよなんて宣いやがって、
小さかった頃は感じなかったルッスーリアと同じ空気を、
全員が感じたのだ。
「この時代じゃ、あんまりボク等出掛けてなかったね」
「(いや、あんまりというか、全然というか)」
「後ろの出歯亀殺して良いかい?」
「ダメです。超ダメです」
街中で、今にもトイレットペーパーに伸ばされそうな手を全力で遮る。
嗚呼、昔はとても可愛かったのに・・・・。
変わらないファンタズマを抱きしめて、溜息をついた。
「むむっ。楽しくなさそ・・「楽しいです!!死ぬほど楽しいです!!」
近づいてきた顔を、思いっきりそらして、また溜息。
エロさも増してしまったというのか・・・。
3時のおやつを持って行けば、
飛び込んできたうざい牛。
放たれたバズーカは、たまたま、マーモンに直撃して。
「(あそこでレモネードを出したのがいけなかったんだ・・・・)」
とりあえず落ち着こうと、皆分紅茶とか珈琲とか、
彼にはいつもどおりレモネードを持って行った。
そしたら・・・・・。
「ありがと」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「む。どうしたんだい急に」
「いっいえなんでも!!」
ほっぺたに残る感触。
無意識にそっと触れれば、また熱を帯びてくる。
「アイスでも食べれば?」
「あ、有り難う御座います」
いつの間に買いに行っていたのか、
両手に握られたジェラートの片方を受け取り、口を付けた。
甘酸っぱい、クランベリーの味が、口いっぱいに拡がる。
「」
「は・・・え?」
「ついてる」
ぺろり。
「っっっっっっっっっっっっっっ!!!!!」
「言葉、喋ってくれるかい?」
早く戻ってきてください。
マーモン。
鼻血が危ないです。
貧血死します。
((10年バズーカか・・・)!?)
(何?)
(ま・・・・・さか・・・)
(マーモンが脱がせた癖に・・・ってあれ?小さい?)