がホグワーツ内に足を踏み入れ、

医務室に向かって歩いていくちょうどそのとき、

向こうから歩いてくる影2つ。




「セ・・スネイプ先生・・・・」

!無事だったか」

「ええ。まあ」

「今から罪人の下へ行くからなお前も来い」




半ば引きずられるようにして付いて行く。

横では大臣がとても渋い顔をしていたが、無視。

2人は救えたと話していたから、

そこには誰もいない筈。

他の者の安全確認は、その後でもいいだろう。



開いて数秒。

ばたんっと閉じられた扉。

超高速闊歩を繰り広げる薬学教授に、

はなんとか箒で追いついて、

眉間のしわが増大したそいつの表情を見て苦笑した。

大臣は息を切らして遥か後方だ。




「あの、ポッターめ」

「あら。ハリーはが医務室まで届けた筈よ?」

「そうだ!だがお前はあいつを知らない!!」

「そうね。貴方よりは知らないわ」

「小賢しい!!」




なぜそうも呼吸を乱さず、チーターも吃驚の競歩が出来るのだろうか。

廊下を綺麗に90度で曲がって、

目の前に見える医務室の扉へと近づく。

大分前に通り過ぎた白い長髭が、

多分・・・いや、絶対に笑っていたから、

2人はもうベッドの中で、マダムを相手にしている筈。



いつもいつも思うが、

この陰険魔法薬学教諭は、蝶番を吹っ飛ばす勢いでしか、

扉を開けられないらしい。

びくりと震えた肩と、こちらに向かって見開かれた眼達。




「ポッター!!白状しろ!!」

「なっなに・・・」

「ハリーはずっとココにおったぞ」




ついさっきまで、大分後方の曲がり角にいただろう!

そんな突っ込み、この不思議爺さんに通用するはずもなく、

いつものように笑みを浮かべて、

自分の隣に佇んでいる。




「絶対にこいつが!!」

「セブルス、そろそろ黙ったらどう?」

「ポピーや?わしが出て行ってからココを離れなかったじゃろう?」

「勿論です!!」

「セブルス。聞いてのとおりじゃ」

「こいつの事をお知りでないのだ!!校長の・・ぐふぇ!!」

「黙りなさいって言ってるでしょ?」




セブルスの腹にクリーンヒットした枕は、

物凄いスピードで飛んで行ったために、大分と殺傷力を上げていたようで。

あれ以上のことがなされるんだと思ったが、

脅えていたとかいないとか。




「お騒がせしました。どうぞゆっくり休んで?」

「頼むぞ。

「ええ。貴方も来るのよ??」

「・・・・・・・・ハイ」




スネイプを宙に浮かせ、

下を向いて青ざめているを引き連れて、

は自室へと帰っていく。

大臣の横を通り過ぎたさいに、物凄い目で見られたが、

まあ、どう思われようと痛くも痒くもない人物なので、

そのまま放置しておいたが。




「・・・・・・・っ」

「あ、セブ起きた?」

「なっ!!」

「諦めろ・・・・」

「おっ下ろせ!!」

「イヤよ。また騒がしくなって医務室に戻るでしょう?」

「ブラックの逃亡に手を貸したのはポッターだ!!」

「その口塞がれたいの?」

「・・・・・・・・・」




ひくりと引きつった口元。

どんどんと縮こまっていくの背中。

抗えない。抗ってはいけない。




「落ち着くまで眠ってなさい?」












そして、次の日。

学習能力があるのかないのか。

起きて大広間に来てが聞いた、ルーピンの話。

もちろん誰が流したかなんて、聞く必要もなく。




「リーマス」

「大丈夫だよ。つい。みたいだから」

「つい・・・ね。まあ、お土産話は休暇中にするわ」

「そうしてくれ。どうせまた、ハリーのところにも行くんだろう?」

「ええ。家の掃除はしておいてね?」

「善処するよ」

「それじゃあまた、家で」




校門でルーピンを見送った後、

教職員から一番近い席を確保しているだろうの元へ赴く。

もちろん昨日、お仕置きとやらは完了していて、

今朝方の彼は大分と魘されていたようである。



やってきたにささっと席を空けて、

青い顔で後ろに立っている

さながら、女王様と下僕。

優雅に食事を続けながら、教員席に座ったスネイプを見つけると、

ナイフとフォークを置いて、

臆することなく階段を昇っていった。




「スネイプ先生?」

「なにかね」

「昨日、アルバムを紐解いていたんです」

「それが我輩と何の関係があるのか・・・・」




こんな大広間の席で、何かして来る筈がないと、

高をくくって、ふんっと笑ったセブルス・スネイプ。

とても甘い。

そんなもの、微塵も関係ないのだ。

彼女にとっては。




「そしたら、先生の写真が出てきましてね?」

「なっ!!!!!」




ひらりと舞う写真。

それは、DADAの授業で現れた、

紫ずくめのスネイプの格好が収められた写真。

どう捏造したのか、ポーズをとりながらこちらにウインクまで投げている。




「皆さんに見せてあげたくて持ってきた次第なんですけど?」

「その・・・写真を・・・渡せ」

「そんなに脅されたら、ついうっかりばら撒いちゃうかもしれませんよ?」

「悪かった。悪かったから!それを即刻焼き捨ててくれ!!」

「どうしましょうかね?」




そんなのスネイプ苛めは、

ほぼ食事中ずっと続いたとか・・・・・。