「が謝る必要なかった」
「しつこいわよ」
「しつこくねぇ」
アレから数日。
授業を終え、談話室に向かったと共に、
これまたここ数日、怒りを隠しきれないが言い合いを続けている。
「その話はもうやめて。リーマスにも心配かけるから」
「あれはあいつが悪い」
「私の過去を知らないのだから致し方ないでしょう?」
「予想くらい出来たはずだ」
「無茶言わないの」
毎日のようにこの話題を持ち出しては、交わされ続けている。
ルーピンが聞いてもだんまりを決め込んで。
色なく同じ場面ばかり移す映写機は、
どうにも性格が悪いようで、
どんどんと、自分の思いが膨れていく。
誰かのためと、正当化したけれど・・・・。
気づいて欲しいだけ。
自分のためでもかまわないという事。
1つ溜息をついたは、話題を変えた。
「で、週末はどうすんだ?」
「週末?」
「ホグズミードだよ」
「嗚呼。すっかり忘れてたわ」
「何もねえなら行けば?」
「そうね。叫びの屋敷も一度見ておかないと・・」
「その猫をスキャバーズの前からどけろ!!」
肖像画を通り抜けて、談話室に入った瞬間聞こえた、
2人が耳を抑えるくらいの騒音。
基、ロナルド・ウィーズリーの叫び声。
「もう少し場所を弁えたらどう?」
「だって、ペットを食われそうになったら怒るだろ!」
「誰も怒らないなんていってないわ。喧嘩は他所でどうぞと言っただけ」
直ぐに反論する事をあきらめたらしく、
ほとほと困り果てたといった表情をしているハリーに、
こんなにボロボロなのに・・・・と、
自分のペットを掲げてみせる。
眼を見開いたのはだ。
気づいた時にはスキャバーズを奪い、その鼠の脚を、見つめていた。
「何すんだよ!!」
「見つけたわ・・・・」
「何を?」
「こちらの話しよ。それとロナルド・ウィーズリー」
「なっなんだよ」
「その鼠、いったい何年生きてるの?」
「さあ?お下がりだからわかんないよ」
「10年・・・もっとかしら?」
「それくらいじゃない?」
指の一本ない哀れな鼠をロンの手元に返したは、
くるりと踵を返し、もと来た道を戻り始めた。
もちろん行く先は、自分の部屋。
逃げようと試みていたあの鼠。
何故?そりゃあ、危険を察知しているからに決まっているだろう。
「行くところが出来たわね」
「そうだな」
何やら3人にはわけが分からぬまま、
そして、ハリーのホグズミード行きの許可がおりぬまま、
ハロウィーン当日となり、
嬉々としている一行を素通りして、
とは禁じられた森へと来ていた。
もちろんお目当ては・・・・
「莫迦」
「破滅的だな」
「救いようがないわ」
項垂れるシリウスを尻目に、
盛大な、そりゃもう盛大な溜息をついた2人。
小さかったシリウスの身体がさらに縮こまる。
迂闊にもさ殺気を膨らませるあまり、
あの、ピーター・ペディグリューに気づかれるなと、在り得ない・・・・筈だったのに。
「気をつけてね?」
「善処する」
「気をつけるのよ?」
「・・・・・・・・判った」
ふうっともう一度溜息をついて、
今度は真剣にシリウスを見据えた。
「あの鼠を取り逃がして御覧なさい?それこそ貴方の命まで危うくなるわ」
「・・・・・・・そうだな」
「死んでハリーが守れると思うの?」
「無理だ」
「だったら本当に気をつけなさい」
「ああ・・・・」
「リーマスはセブに任せてあるんだから安心し・・」
「なんだと?」
「知らなかったかのかよ」
「脱狼薬を作れる教師は多くないわ?」
それを考えればだれに任せるかの答えは直ぐに出るでしょう?
と。
けれど、シリウスが言いたかったのはそういうことではなくて・・・。
「お前まさか、スネイプがココにいるって知らなかったなんていうんじゃ・・・」
「・・・・・・・・」
「牢獄生活長かったもの」
「嫌味か」
「あら、判るくらいに成長はしたのね」
「・・・・」
そんなシリウスをいじめ抜いた2人は、
城の方へと歩いて行った。