「お早う御座います」
「お早う御座います」
「いかがですか?体調は」
「野暮な事を聞かないでください。最悪ですよ」
「私があのじじいの目を盗み見て、何回、日本酒と御冷を入れ替えたと・・・・」
「まあ、昨日は上出来でした」
家に残してきた大きな子供には十二分に心配が及ぶところではあるが、
片付けなければならない書類がある。
まあ、春明がなんとかするだろう。
と、パソコンを立ち上げながら
は思った。
「ところで、あのべろべろに酔っ払った戦闘員は無事ですか?」
「やっぱり気付いてらっしゃいましたか」
「あれで気付くなと言う方が難しい」
「気付いてたなら、手伝って下さいよ」
「何を言っているんですか?面倒くさい」
でしょうね。
と溜息をつく。
この上司はこれだから。
「まあ、あのじじいに気付かれてないなら、なんでも良いですよ」
「書類は片付けて帰って下さいね」
「かしこまりました」
「嗚呼、それと」
「?」
「さっき、寺島君が置いて行きましたよ」
と、私が好きなワッフルの詰め合わせを、唐沢さんが指さした。
まあ、彼に関しては、止めなかったという罪があるにしろ、
1人だけ正気を保っていた事もあるし、許してやるか。
ふっと、その顔に一瞬笑みを浮かべた
は、山積みになった書類と戦闘を開始した。
時を遡る事、1時間前。
が家の扉を閉めた時刻。
意気揚々と、煙の立つ中華スープの前に腰掛けた東春秋は、いただきます。
と、未だ、突っ立っている3人の後輩をしり目に、水餃子を口に運んでいた。
「食わないのか?」
「いや、あの・・・・東さん?」
「なんだ?」
「お聞きしたいと事が山ほどあります」
「そうか。じゃあ、食いながら聞く」
「はあ・・・」
「折角、
が作ってくれたんだ。冷める前に腹の中におさめてやってくれないか?」
美味いぞ?と更に、口へと運ぶ東に、
顔を見合わせた3人は、ひとまず席について、
おずおずと目の前に置かれたスープを口に入れた。
「うめえ!!!」
「美味しいですね」
「
は料理が上手いからな」
風間に至っては、無言で口いっぱいに水餃子と、中の野菜を頬張っている。
「ってゆうか、東さん!!」
「1年前だよ」
「まだ何も言ってないっすよ!」
「
の事だろう?1年前から同棲してる」
「全然気付かなかったです」
「まあ、職場だとああだからな」
諏訪が色々と聞き出しているのを、耳に入れながら、
さんのことが、本当に好きなんだと、顔を見ながら思った。
弟子をしていた間でも、この人のこんな表情は見た事が無い。
俺は色々と、情報に踊らされていたようだな。
「優しそうな、人ですね」
「惚れるなよ?」
「ご心配なく」
「木崎、お前、正気か?」
「ボーダーの魔女なんて名前が情報を錯綜させていただけだという事が分かった」
「いや、まあ、そうだけどよ・・・」
「仕事に厳しいだけだよ。
は」
「見る目が、変わりそうですよ」
「それは困るな」
「「「??」」」
「
の魅力を知ってて良いのは俺だけだからな」
嗚呼、これは、重症だな。
と、3人が合わせた瞳が語っていた。