Violet:無邪気な恋
これは、が赤髪海賊団の正式な一員になり、
少し船を進めた、冬島での出来事。
「赤髪?」
エドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団が其処に上陸したときには既に、
その島は大惨事になっていた。
世を唸らせる四皇、赤髪のシャンクスの鼻血によって。
「航路か?」
「そうじゃねえが・・・」
「悪いな。ちょっと取り込み中で」
「どうかしたのかよ・・・い・・・・」
「・・・・・・・・・・目を疑う」
「それが、常識人の考えってもんだな!!」
どくどくと、未だ流れ続けている紅は、
其処につもる綺麗な白を汚してゆく。
誰もが口をあんぐりとあけ、一目見れば死んでいそうに見えなくもない、
しかしながら、あまりにも悲惨で威厳皆無なその姿に、絶句していた。
そんな時だった。
猛者たちの間に相応しくない、お子様特有の高い声が響いたのは。
「ベン、このひとえどわーどにゅーげーとでしょ!」
「この前のリスト見て覚えたのか?偉いな」
「となりがふしちょーのまるこで、そのよこがだいあもんどじょずでえ」
次々と白ひげ海賊団隊長の名前を、指さしては答えてゆく、白ウサギ。
基、白いウサ耳の着いたダッフルコートを着て、可愛らしく笑う天使。
慣れない名前だからか、少しばかり舌足らずなところが、
また可愛さを増幅させている。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(赤髪・・・終に人攫いを・・・・)』
白ひげ海賊団クルーの心が、一つになった瞬間であった。
「また可愛らしいの入れたな」
「拾ったんだよ」
「?自己紹介がまだだろ?」
「おれ、っていいます」
「男の子か?」
「こう見えてもな」
「俺はエドワード・ニューゲートだ。なんとでも好きに呼べ」
「みんなになんてよばれてるんですか?」
「親父だな。俺の船に乗るやつは皆俺の息子だ」
「おれもおやじってよびたい・・・だめですか?」
「サッチ・・・・・」
「なんすか?」
「船からありったけの菓子を持って来い」
「了解」
かの怪物、エドワード・ニューゲート落ちたり。
「誰が親父だって!!!????」
「おきたのしゃんくす?ねててよかったのに」
「もう全然大丈夫だからな〜ホント、は優しい子だ」
いつの間にやら復活して、
を守るように立ちはだかる赤髪。
嫌味を言われてるんだぞしっかりしろっっ!!
と、白ひげ海賊団の突っ込みが入る。
は渡さねえ俺のもんだ!!
とか、菓子をやるくらい安いもんじゃねえか。
という、良い年した親父の抗争が終わらないので、お互い腰を落ち着けることに、
参謀同士の、全てを悟った頷きで決められた。
「放っといて良いのかよい」
「いつものことだ」
「お互い苦労するよなーー。あんな頭持っちまうと」
「お前等のトコよりはマシだ」
「が来てからだな」
「まあ、可愛らしいのは認めるけどよい、あれで良いのか?」
「ま、生きてるし、良いんだろ?」
「べんーーーみてみてびすたすごい!」
「嗚呼、随分精巧な雪細工だ」
話の中心人物であるは、
はっきり言って我らが船長のことなどどうでもいいらしい。
ビスタがその剣さばきで作り上げた雪細工の前で大はしゃぎだ。
「なにはなしてたの?(まあ、大方あのクソ野郎の事だろうが・・・)」
「お頭がどうしようもないって話だ」
「いつものことだね」
「救いようがねえな」
「悪いなビスタ」
「構わねえよ」
「末恐ろしい餓鬼だよい」
可愛らしかろうが何しようが、
自分にとってはただの餓鬼であるし、敵同士には変わりない。
究極の局面になったら自分は、こんな子供でも手に掛けるんだろう。
そんな風に考えていたマルコは、
の視線が自分を捉えて離さない事に気がついた。
今も別に他愛ない話が続いているし、
話を振られれば、うんそうだね。やら、ちがうよー。
と、受け答えはしているものの、視線は自分に置かれたままだ。
「なんか用かい?違うなら視線を外せ」
「・・・・・・・・・・・」
居た堪れなくて問いかけてみれど返事はない。
どうやら、逆に皆の視線を集めてしまったらしい。
「おい・・」
「おれね、おれ・・・」
少しの間。
そして、
「おれ、ずっとふしちょーのまるこのこときになってたんだ」
爆弾。
NEXT