「は?」
「眠ってる」
「そうか・・・・」
の瞳に突然映った事が、
余りにも衝撃的過ぎて、蜘蛛達は広間で静寂を貫いていた。
「やぱりココに置いとくの間違いね」
「それはぼく等が独りにしたからの話」
「あの女、蜘蛛を侵食しすぎたよ」
「確かに・・・・言われてみればそうだけどな」
君の願いを叶えたくて。
君の笑顔が見たくて。
今までの時間がまわりつつあった。
ぼおっと天井や壁を見て、
彼等の、彼女等の耳につくのは、先刻のの声。
「独りにしないで!!!!!」
自分達とは違う、遥かに脆い生き物。
独りの何が悪い。
自分達は今まで、そうやって生きてきたから。
だけど大切なのも確かで。
フェイタンの言う事は一理ある。
ココにいるべき存在ではない。
そんな事分かってはいても、傍に置きたいのだから仕方ない。
「!まだ寝てなって言ってるだろ!!」
そんな叫びと、ばたばたと階段を下りてくる音。
自分達の前で止まった足音。
華奢な身体を包む真新しい服。
揺れる肩。
自分達の映った瞳。
「!!」
「・・・・・・どうした」
「・・・・っ」
「どうした?」
言葉が口から出てこない。
言ッチャダメ。
困ラセルデショウ。
アタシノ我侭デ。
良イ子ニシテナキャ。
皆バラバラニナル。
「何故泣く」
「ゴメ・・・っナサイ」
「」
「・・・・・・・・て下さい」
「?」
「一緒に居て下さい!!」
独りでも乗り切れた夜はもう来ない。
君が包んでくれた冷え切った身体や、
大丈夫だよと響いた優しい声も。
手放せなくなってしまった弱い自分。
それでも・・・・・。
「蜘蛛にいれて!テストでも・・・何でも受けるから!・・・だから!!」
団員はポカンと、そんなの様子を見ていた。
自分達はもう、を蜘蛛として認めていたから。
フェイタンを除けば、の話だが。
「何言ってんだよ。お前はもう、蜘蛛だろ?」
「へ?」
「団長が連れてきた時点で、貴方はもう蜘蛛の一員よ?」
「じゃなきゃ念の面倒まで見ないって」
「そうゆうことだ!!」
ばしばしとの背中を豪快に叩いて、
ウボォーギンが笑う。
「それ以上叩くと、が潰れるぞ」
「わっわりい!!」
「平気」
「平気??結構まじで殴ったような気が・・・・」
『ウボォー!!!???』
「平気だよ。ウボォー」
「お前・・・・ホントに化けもんだな」
「そう?」
くすくすと笑った君の顔に掛かる、さらさらの黒髪。
自然と笑顔になる団員達。
ふっと視線をクロロにやったは、にこりと笑って、
クロロの前へと移動した。
勿論、普通に歩いてだ。
「あたし、クロロのこと嫌いだった」
「おい・・・」
「自分にも、他人にも興味なくて、ただ生きているだけなのに、
どうして死なないでいられるのって、ちょっとした皮肉。
あたしも餓鬼だし、貴方の事、勝手に想像して、勝手に失望して、勝手に嫌ってた」
「・・・・・・今は?」
「凄い、多分この仲の誰よりも、人間臭いなって思ったの」
「俺がか?」
「だって、答えを欲しがってるから」
「ほう」
「でも、あたしは、人間臭い方が好き。これから宜しくお願いします。団長」
好きという言葉に赤面こそしないが、固まってしまったクロロ。
そんな団長の姿に溜息を盛大についた団員が、
ぞろぞろとを取り囲む。
「ぼくのことは?」
「うん?」
「好き?」
「好き。ボノも好き。皆好き」
好きなものなんて、今までなかった。
欲しいものも、明日する事も何も。
「あ、そうだ団長、あたしハンター試験受けてくるね」
「なん・・・・て?」
「え?ハンター試験受けてくる。ヒソカに登録お願いしたの」
『え〜〜〜〜〜〜〜!!!!???』
反響したその声に、しばし耳を塞いでいた。
「止めとけ!!」
「どうして?念は覚えたよ?」
「あのヒソカを頼るなんてどうかしてるわ!!」
「優しいと思うけど?」
「!今すぐ横になりな!!」
「脳みそを分析した方が・・・・」
「団長からも何か言ってくださいよ!!」
くるりと振り向いた団員の眼に映ったのは、
いまだ何処かへ思考が飛んでるクロロで、
嫌われていると思っていたから尚の事嬉しかったのかもしれない。
「どうしたら行かせてくれるの?」
「ワタシ止めないよ」
「うん。フェイタンはだって、あたしに興味ない」
「出発はいつなんだよ」
「明日」
『明日!!!!???』
「だから、皆がいなくなると凄く寂しくなって、気付いたらいっぱい切ってて・・・それで・・」
「ストップ」
「何?」
「いっぱいなんて?」
「切ってて?」
「ボノレノフ」
「嗚呼」
「え?何?」
「毎日包帯を巻きなおすなら行っても良い」
「・・・・判った」
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