「走りにくくない?」
「平気だよ★」
「でもさ・・・」
「は静かにそのまま乗っかってればいいの◆」
「はあい」
いちゃつくなら他所でやれ。
そう思った受験生が幾人いただろうか。
ヒソカの肩にまたがって、上下に揺られるは、
上から襲ってくる気色の悪い有象無象を払いのけつつ、
振り落とされないように、ヒソカの頭に捕まっていた。
「・・・・・今のヒソカのオーラ嫌い」
「仕方ないだろう?つまらなさ過ぎるんだから★」
「でもキライ。先行く」
「行かせないよv」
「機械仕掛けの神様発動」
ぐっと、足を掴まれたは、間髪入れずに能力を発動させた。
ハンター試験で念の使用が禁止されているという話は聞いたことがない。
ごくりと人形に飲み込まれたヒソカが、
の数歩後ろに出現し、
自分の状況を把握できず、きょとんとしている間に、
は出来うる限りの速さで前に向かったとか。
「試験官ごっこには付き合いたくないし」
かたかたと奇妙な音のする方へと走ってゆく。
そんな音を奏でる怪物はいなかった筈である。
もし、そんな怪物がいたなら、自分は終わりだろうなと思いつつ、
やっとこさ霧の開けてきた場所で、
自分のついてきた人物が正解であった事に安堵の溜息を漏らした。
「道案内ありがとう。ギタラクルさん」
「カタカタカタっ」
「残念ながら人語意外理解できないよ」
他にいく当てもなかったは、
こいつと連絡を取ってヒソカが戻ってくることなどすっかり忘れ、
ギタラクルの隣に座り込んだ後、クロノスを抱きかかえて前を見据えた。
これからの試験をどう乗り切るか。である。
ネタと呼べる魚は取れず、用意されてる調味料もわからない。
ハゲが出てくる前に美味しいと言わせなければ合格は難しいだろう。
「でも、あんな高いところからダイブするのは避けたい」
「何処へダイブするんだい?」
「ひぃゃっ!!」
「、そそる声出すなよ★」
「そんな耳元で囁かれたら誰でも出るよ・・・・お帰り」
「ただいまvそれより、あの能力、どうやったか・・」
「教えない」
「残念◆」
「何?知り合いだったの?」
「・・・・・・ギタラクルさんが喋った」
「彼も人間だからね」
「だって・・・・いや、なんでもない」
「気になるじゃないか★」
「気にしないで」
危うくキルアにばれるのにと言いそうになって、飲み込んだ自分を賞賛した。
ねっとりとした視線を2人分浴びつつ、5分少々耐え抜いたは、
シャッターの開く音に、思いっきり立ち上がったとか。
「ロマンチストの豚がいた。お鼻は大きくとっても硬い。
三角御眼目で睨まれて、逆にあたしが逃げている・・・・・・」
「なんだい?その歌」
「あたしの好きな替え歌。っと」
「杖か★面白い武器だね◆」
「手合わせはしないよ。あたしが死ぬ」
「弱いわけじゃないんだ」
それはそれはとくつくつ笑いながら、
自分の豚も仕留めて、火をおこし出すヒソカ。
その隣で、普通に人語を喋っているギタラクルに驚きつつ、
まあいいかと、用意してくれた火に豚をかざしたところで、
クロノスに飲み込ませれば、一気に丸焼きの出来上がりだ。
「それも能力のうち?」
「そう。興味あるの?」
「まあね」
「でも内緒」
「嗚呼、そうそう、ギタラクルって偽名。イルミが本名」
「・・・・・そんな早くばらしていいの?」
「別に害はないでしょ?」
「まあね(キルアに教えるつもりは毛頭ないし・・・)」
豚をブハラの前に差し出して、
後は食べてくれるのを待つのみ。
イルミやヒソカと同時期に出したのだから、落ちる心配はないだろう。
予想通りというか何というか、無事ブハラの試験をクリアし、
ただ今はネタと格闘していた。
「さっきは上手くいったのにな」
突進してくるグレイトスタンプをひらりと避けて、
もう一度頭めがけて杖を振り下ろす。
今度は急所に当たったらしく、ばたりと倒れこんでくれた。
それを念のナイフで切り分ける。
切り分けた其れを持って戻れば、
会場には人っ子一人いない。
少し急がねばならぬようだ。
火をおこし、先ほどと同じ方法で火を通したそれに、
醤油と味醂、少しの砂糖とこしょうで味付けてゆく。
「出来ました」
「待ってました!!・・・・って、このネタ・・・」
「さっきブハラさんが食べてた豚の、肩ロースを焼いた奴です」
「へえ?なんで?その様子だと寿司がなんなのか知ってたんでしょう?」
「あの気色悪い魚達を美味しくする術を知らなかったんで」
触りたくなかったといったら怒られるだろうか。
そんなことを考えながら、メンチの口に運ばれた寿司を、
大分と緊張しながら見つめていた。
「ん。なかなか。合格よ」
「・・・・ホントに?」
「何?取り消して欲しいの?」
「いいえ。ちょっと、驚いてるだけですから」
「其れより、なんで肩ロース?ロースやヒレの方が美味じゃない?」
「ご飯って思ってるより歯ごたえ無いし、
ネタだけ食べるならまだしも、やわらか過ぎるのはと思ったんで、中間を」
「なるほどね」
自分の知っている未来どおり、
ハゲが作り方をばらし、
合格者自分1人という結果に陥った。
勿論、合格者1人の試験もあったにはあったが、
の中で再試験をするであろう事は確信に近かったり。
自分以外の合格基準が狂っていたから。
谷底に飛び降りていく面々を見やりながら、
これは絶対に出来ないということと、
ヒソカとイルミに問い詰められるのだろうなということも目に見えていて、
ゴンとキルアのところへ避難しようか、
むしろ試験官に助けを乞うか、
真剣に悩んでいたとかいないとか・・・・・。
[能力説明]
□ 機械仕掛けの神様
具現化した人形そのものに、対象物を飲み込ませる事によって、
そのもの時を進める、もしくは後退させることが出来る。
■ 制約と誓約
そのものの時を戻すとき、そのものの以前の状態、状況を知っていること。
人から聞いたことなどは不可。
自分で、しかも意識のある時に見た状態、状況のみ有効。
そのものの時を進めるとき、誰が見ても、この次はこうなるという状況を造ること。
(水を火に掛けると、沸騰する等)
この条件を満たしていない場合、
操ろうとした時の分、自分の寿命が短くなる。
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