自分の血は好きなのに・・・・な。

キルアが飛ぶのが見えた。

気付いたら血飛沫が上がっていた。

あたしは、止める誰かの腕を振り切って、

キルアの後を追うように、試験会場を飛び出した。



嗚咽を抑えながら、外の空気を肺へ。

涙が溢れてとまらないのは、

いつか、認めて欲しいと強請った夜を思い出すから。

しばらくがそうしていれば、

反響していた足音が、自分の傍らで、ぴたりと止まった。




「何、やってんだよ」

「ひっ!」

「・・・・・・・・わり」




戒め?

君も?

あたしも。

彼女なら、自分を受け入れてくれるのかもしれない。

そんな期待と、どん底に落とされた絶望感。

オレは、ヒトとは違うと。




「キルア」




穏やか過ぎるその声に振り向けば、

目をしっかりとつぶったがいた。




「キルア?あたしね、血が嫌い。自分以外の血が嫌い」

「なんだそりゃ」

「痛みを教えてくれる。だめだって止めてくれるモノ」

「意味わかんねえよ」

「貴方を導いてくれる光はもう、見つけてるでしょ?」

「っ!!」

「お互い、興味、知れるといいね」




見たくないから瞳を閉じよう。

逃げないと、コワレテシマウカラ。

しばらくこちらを向いていたのであろうキルアが、

そのまま視えなくなるまで、は瞳を開けることなく、

彼の気配だけを感じ取っていた。








「ただいま」

「何処に行ってたんだい?」

「キルアの見送り」

「そ★」

「説明、聞かなくて良かったの?」

「平気」




色々と感慨に耽ってから戻れば、

既に説明会を終えて、皆が集会場を出てきたところで。

とことことそのままヒソカに抱きつき、しばしを過ごす。

震える肩を優しく叩いてやれば、腕の力が強くなった。




「おい!やめとけって!!」

「でも友達だよ!!」

「しかしだな・・・・」

!」




小さな口論が近づいてきていることは知っているたけれど、

自分に関係がないと思っていただけで。

自分の名前を呼ばれて数秒、

やっと気付きましたというように、はヒソカの胸から顔をあげた。




「ゴン・・・・」

「俺達これからキルアを迎えに行くんだ」

「ククルーマウンテンに?」

「うん。も行かない?」

「ん・・・・・・言いたいことは言ったから、イイ。あたしは、待ってる」

「そっか」

「キルアを救えたら、教えて?」

「うん!!また連絡するよ!!」

「行ってらっしゃい」

「行ってきます!!」




そう言って手を振った後、携帯もないのにどうやって・・・。

と気付いてしまったが、どうしようもないので放っておいた。

まあ、いづれ会うことになるだろう。




はどうするんだい?」

「え?アジトに帰らないの?」

「帰っても誰もいないと思うよ★」

「休暇中・・・・みたいな?」

「そうゆうこと◆」




溜まりに溜まった着信履歴云々を先ほど消去したばかり。

勿論今のも嘘。

彼らはの帰りを待って、今もホームにいる。

ただ、そう言ってしまっては面白くないから。




「どうしようかな・・・・」

「ボクと天空闘技場に来ない?」

「え、嫌だ」

「貸し★」

「・・・・判った」

「じゃあ・・」

「待って」

「なんだい?」

「受かった事を報告してからでもいい?」

「でも休暇中で、誰が何処にいるか判らないだろ?」

「じゃあ、ヒソカの携帯・・・うぇ?」



で連絡を・・・と続くはずだった台詞は、

訳の判らぬ音となって口から溢れた。

殺気を格段に増させたヒソカと視線がかち合う。

30cm身長の離れたヒソカと、視線がかち合う。




、オレと結婚しよう」

「はい?」




イルミに俵担ぎされている事に気付くのに、そう時間はかからなかった。




「許すわけないじゃないかvv」

「ヒソカはの親父じゃないし」

「今は保護者だよ★」

「違うと思う」

「酷いな◆」

「というわけで、親父に紹介するから」

「ちょっ・・」




どうゆうわけだと言おうとした瞬間、

舌をかむ間もなく、とんっと蹴られた地。

風を切るなんて生易しいものではない。

一気にヒソカが点になったかと思うと、

次の瞬間には飛行船に乗っていて、

声になっていない叫びが、BIPルームに木霊した。




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