「ダメだ」

「でも約束したから」

「そんな約束、抹消してしまえ」

「それじゃ嘘つきと一緒だよ」

「正当防衛だ」

「ヒソカはそんな人じゃない」

「ダメと言ったらダメだ。諦めろ」




前回と同じような展開で押し問答する2人。

が帰ってきたことに安堵した団員は、其々の休暇へと、

やっとこさ向かっていったところだ。

今アジト内に残っているのは、フェイタン、コルトピそれからクロロ。




「あたしを飛行船で助けてくれたのはヒソカなのに」

「うっ・・・・」

「サバイバルの時だって、凄く心配してくれて」

「だがっ・・」

「ちゃんといつも、傍にいてくれた」

「しかし・・・」

「クロロのケチ。もう良い。勝手に行く」

「こら!!」




くるりと背を向けて、すたすたと遠ざかっていく。

実際は1ヵ月半程度、やることがなかったりするのだが、

一撃の重みを修行するには最適な場所だと思われる。

色々なレベルの人と戦えば、

自分の力が何処まで通用するのかを見ることが出来るからだ。



後ろから追いかければ、

クロノスが思いっきり口を開けていて、

久しぶりに思い出した、あの食べられるという感覚に、

つい、後ずさってしまっていた。




「何してるの?」

「天空闘技場に行く許可貰ってたの」

「ふうん。で、なんで団長は臨戦態勢なわけ?」

「クロノスが食べようとしたから」

「なるほど」

「じゃ、行って来ま・・」



「うん?」

「ちょっとだけこっちで修行していけば?」

「え・・・・でも」

「ヒソカと同等くらいには鍛えておいた方がいいよ。ヨークシンの事もあるし」




そういえばと考えに耽る。

誰かの死は、誰かの糧になるから、

ウボォーのことも、パクのことも、は関与しない気でいた。

実際、自分の陳腐な言葉で、彼等の心が砕けるとは思えないし。



ただ、念を磨いていくのに越した事はない。

今の自分では、キメラアントの隊長クラスも危ういような気がする。




「そうする」

「じゃ、基本体力からだけど、ボクも団長も向かないから、フェイタンに頼んでね」

「・・・・・・え・・」




実際コルトピも、と一緒に過ごしたかったし、

捨てられた子犬のような目をする団長は、もう、うざ見たくなかった。

ぽんっと背中を押して、階下へと促す。

自分で修行するといってしまった手前、引けないが、

しぶしぶといった感じで階下に降りていくのを見送って、

コルトピは、クロロを見上げた。




「しつこい男は、嫌われるよ?団長」

「なっ!!!」











見た目は普通の扉なのに、

中から漂ってくる血の匂いや、死の匂い。




「フェイタン。お願いがあるんだけど」




自分は彼に認められたのだろうか。

上の台詞を吐いて1時間、

ノブナガか、フィンクスか、ウボォーを捜した方が早いような気がするだが、

コルトピのことだ、何か考えているだろうから、

実行しなければと、変な使命感に襲われていた。



勿論、堅は維持している。

オーラの減らないは、維持ならお手の物だ。

ただ、その量が少ないだけ。

一撃の重みをあげたいなら、地道に身体を磨くしかない。

1つ溜息をついた時、もたれていた扉が内に開き、

はころりと後ろに倒れていた。




「いつまでそこにいる気ね」

「フェイタンがお願い聞いてくれるまで」

「ワタシやらないよ」

「聞こえてたんだ」

「お前莫迦ね。強化系莫迦の方がイイに決まてる」

「でも、あたしはフェイタンに教わりたい」




彼らのように、オーラ増幅の手段じゃ。




「どうしたら教えてくれる?」

「ワタシが認め・・」

「でも、フェイタンは認めてくれない。それでも良いってあたしは言った」

「だたら諦める事ね。いしょう其処にいても変わらないよ」

「じゃあ、ココにいる」

「今の話聞いてたか?」

「一生なんて長いから、もしかしたらフェイタンの気が変わるかも。
待つのは慣れっこだから。だから、待ってる」




彼とココまで会話したのは初めてではないだろうか。

すっと部屋を出て扉を避けると、

先程と同じように堅を持続し、其処に座りなおし、

流なんかも見様見真似でやってみる。

ゆっくりゆっくりスローモーションで。

左手に60の念を移動しきったところで、腕を引かれた。




「ナニしてるか。ささとするよ」

「え・・・うん」









スパルタだ。

そりゃそうか。

あれから3時間、はひたすら筋トレ(止めたら拷問される)。

ランニング基鬼ごっこ(捕まったら殺される)。




「そのセト、毎日じゅ回やたらいいね」

「それが終わったら鬼ごっこ。ありがとフェイタン」

「ち」




痛めつけられるなら、身体の細部まで知っているという事。

効率よく鍛えられる方法を知っているのだろう。

明日は確実に筋肉痛だ。

外を見れば、もう夕日が沈もうとしている。




「あ」

「なんね」

「お昼ごはん。2人に用意してない」

「そんなもの食べなくても生きていけるよ」

「そうゆう問題じゃないでしょ」




イルミにも、ご飯はしっかり食べてと言ってしまったし。

夕飯の仕度もせねばならない。

急いでキッチンに駆け込んで、エプロンをつける。

パクノダがいないのだから仕方ないのだが、

なんだか働いている主婦が身につきそうな予感がしたであった。




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