「機嫌直せよ」

「あたし、そんなに老けて見えるのかな」

「大丈夫だって!!」




あまりの衝撃に数分其処に立ち尽くしていた面々は、

くつくつというヒソカの笑い声に我を取り戻した。

そして今は、あの4人で、喫茶店のテーブルを囲んでいるところである。

なんとも近づきがたいメンバーだ。

この闘技場にいる者なら、の頭を疑っても仕方ないだろう。




「ヒソカの所為だよ」

「ボクは何もしてないじゃないか★」

「奇怪な現象は全部ヒソカの所為」

「酷いな◆」

「でもさ、ってホントはいくつなの?」

「あ、俺も気になる」

「あたし19。ミルキと同い年」

「まじ・・・・?」




豚君と一緒。

ぶつぶつと呟き続けるキルアを無視して、

は目の前の珈琲に口をつけた。




「ねえヒソカ、あたしいつまでココにいたらいいの?」

「ん〜考えてないvv」

「え、じゃあ明日帰る」

「オレとヒソカの試合見てってよ!」

「いつ?」

「えっと・・・・・」

「一度でも200階で勝てたら相手するって約束なんだ★ね?」

「うっうん」

「判った。じゃあ、それまで適当に観戦してる」

「戦わないのかよ!!」

「戦わなきゃダメなの?」




ダメなのだったら、必要なのなら戦うけれど。

強要される時の彼女の顔は、表現しがたい苦痛に歪む。

彼女自身、気付いてはいないのだろう。




「いいよ別にvvをココに呼んだのは僕だしね?」

「ちぇっ!」

「あたしと戦いたいの?」

「当たり前だろ!!あんだけヤな負け方してんだし」

「またいつかね」




誰からともなく席を立って、其々の部屋へと向かう。

は強制的にヒソカに引っ張られていったが・・・・。

試合の予定があれば教えてもらう約束をして、

は今、ヒソカの部屋のソファに沈み込んでいた。




「もうすぐカストロってヒトと戦うんだって?」

「まあね★」

「無茶しないでよ?」

「どうかな?」




自分に彼の行動を規制する資格がないのも判っていながら、

はぽそりとこぼした。

無茶や無理という言葉は、彼の辞書にないのに。

きっと原作どおりに事は運んで、

切られた両腕をマチに治して貰うのだろうけれど。

どうしてだろう。

こんなにも、誰かが傷つく事がイヤなんて。

他人に興味などなかった筈なのに。




「心配してくれているのかい?」

「無用の長物でした」

「嬉しいよvv」

「気持ち悪い」

「酷いよ◆」

「現実を受け止めた方がいいと思う」

「何が?」

「ヒソカが変た・・」




い。と続くはずだった言葉は、

電話のコール音で遮られた。

自分のポケットから聞こえるそれに、は嫌々通話ボタンを押した。




『着いたら連絡しろといっただろ!!』

「着いたよ」

『遅い!!』

「クロロはあたしの保護者じゃないでしょ?」

『起きてから、飯後、3時、寝る前、必ず連絡しろと言・・』




ぷちり。




「★」

「えっと、なんの話だっけ?そうだヒソカが・・」




また、煩いほどけたたましく鳴り響く其れ。

は盛大な溜息を1つ吐くと、通話ボタンを押すと、即切った。

そのまま着信拒否設定に彼の番号を登録して、

やっとこさ目の前のヒソカに視線を戻す。




「もういいや。ヒソカ以上に変なヒトがいたから」

、携帯持ってたんだ◆」

「無理やり持たされたの。要らないって言ったのに」

「番号教えてよvv」

「え、ヤダ」

「なんでだい?」

「要らない連絡がいっぱい来そうだから。全部無視していいなら教える」

「社交性ないな★」

「その他大勢に興味はない」




独りで生きていく事はできないとわかったけれど、

お互い関係しあったとしても、

それは、長過ぎる人生の中での一握り。

其の人生の価値さえ、直ぐ捻り潰してしまえる位ちっぽけ。




「ボクはその他大勢なのかい?」

「・・・・・・・・判らない」

「じゃあ、これボクの番号だから、気が向いたら連絡して★」

「ん」




君の瞳に映っただけで、

歓喜を覚えたボク達が、

君の心に映ったときに感じる喜びは、

なんと表現すればよいのだろう。

きっと、この世にある言葉では無理だと、其の時確かに思ったのだ。



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