メインディッシュは奥のBIPルームでどうぞ。
そう言われて2人は、渋々といった表情を隠すこともなく、
1つの扉の前に立っている。
今までいたところよりもさらに、自分達とは違う香りがする部屋。
今は、垂れ流れている星達の馨りが充満しているわけだが。
「凄く開けたくない」
「同感だよ◆」
「でも、逃げたら後々怖い」
「其れも面白いけど、これ以上狭間は広げたくないな★」
「しょうがないね・・・・」
部屋の中まで促そうとしたボーイを帰らせて、
地獄へ続く門の前に立つこと数分。
くつくつと笑っているヒソカは、この状況まで楽しんでいるのかもしれないと、
本気で青い顔をしているは思った。
扉に手をかけて、恐る恐る開く。
「何・・・・してるの?」
「!!携帯を切るなとあれ程言っただろ!!」
「クロロ、煩い」
「なっ!!」
「久しぶりね」
「うん」
何が悲しくて、ヒソカの誕生日に蜘蛛が勢揃いしているのか。
ふとコルトピのほうを向けば、苦笑しているのが眼に入った。
「ホントに団長うざかったんだよ?」
「あたしの所為?」
「そうだろうな」
「なんか、あんまりスーツ似合ってる人いないね」
「オレを哀れそうな目で見るなっつの」
「いや、フィンクスはマシだと思うよ」
「マシかよ」
「ウボォーに比べたら」
「オレか!!」
高級レストランとは思えない、騒がしさ。
キライじゃない。
「なんで皆こんなとこに?休暇を過ごしてたんでしょ?」
「団長がうざかったんだよ」
「コルトピと同じこと言ってる」
「まるで娘莫迦な父親ね。いい加減にして欲しいよ」
さらに部屋の隅っこへ追いやられるクロロを、誰も助けようとはしなかった。
「心配してくれたんだ。ありがとクロロ」
「・・・・」
「でも、メールの請求はしないでね。あたしそういうの大嫌いだから」
「・・・・・・善処しよう」
「★」
「うん?」
「自由時間がなくなってもいいのかい?」
「え?」
「これじゃ、ね?」
「でも、今日一緒に過ごす事が条件で、2人きりなんて言ってない」
「しょうがいな◆」
「どうせ部屋に戻れば2人なんだから、あんまり変わらな・・」
「なんだと!!??」
きょとんとするを、まるで天然記念物でも見るような瞳で見つめる団員。
まあ、奇術師=変体の方程式が出来上がっている面々としては、
彼と同室等という恐ろしい事はなるべく避けたいわけだ。
「ヒソカ・・・お前・・・・・」
「ボクが連れ込んだんじゃないよ?」
「嘘つき」
「★」
「、何もされてない?」
「何も?こんなあたしに欲情する物好きはいないと思う」
「莫迦」
「莫迦って、酷いよ。シズク」
「欲情なんて言葉を使うな!!」
「じゃあ何?勃っ・・!!」
口を押さえに掛かった団員は1人じゃない。
少なくとも、傍にいたシズクとシャルナーク、
肩を上下に揺らして、こちらへ飛んできたクロロの手が、
の口元を押さえていた。
ということは、息が全く持って出来ていないという事で。
「が、死ぬよ?」
「下劣」
「女の子だろう?」
「でも、あたしはヨゴレ物だから」
そんな満面の笑顔で、言わないで。
君は誰より綺麗で、純粋で。
答えを求めず、子供を脱して、造らなくても良いのに。
ここでは。
「」
「なあに?」
「まだ天空闘技場にいる気か」
「うん。ヒソカと友達の試合を見るまでは帰らない」
「だったらせめて、ヒソカと違う部屋を取れ」
「面倒くさい。あたし、闘士として行ったんじゃないから、部屋ないし」
「それでもだ」
「無理強いは良くないよ?団長★」
独りにならなくちゃいけないの?
俯いて膨れている振りをしていれば、
それに逸早く気づいた奇術師が顔を手で覆い隠す。
涙がこぼれている事も判っているのだろうか。
嘘つき同士の間で通じる、何か。
「無理強いしてるのはどっち・・」
「案外、団長かもよ?」
「どうゆう意味だ」
「だって、、泣いてる」
「なっ・・!!」
ひくりひくりと、静寂が訪れれば聞こえる嗚咽。
誰もが声をかけられない中、
僕なら判っていると示した気に、
ヒソカはと目線を合わせた。
「ほら、お願い事、言えるだろ?」
「っ・・・ぇ・・・」
「◆」
「独り・・・はっ・・・ヤ・・・の」
「聞こえたかい?」
どうして俺は見つけられない。
彼女の好きな事も、
彼女のして欲しい事も、
彼女の望む何かも。
全部全部、自分でない誰かが見つけてしまう。
彼女の存在を見つけたのは、自分なのに・・・・。
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