もう既に、沈みかけている太陽の眩しさに目を開けて、
12月に入った頃から部屋に飾られてある、
クリスマスツリーの足下を見やった後、
かるく、目を見開いた。
クロロがくれた、小さな小さなツリーが、
足下、というか、隣、というか、真ん前、というか。
に置かれている、
胡散臭すぎるプレゼント。
に隠されていたから。
「・・・・・・・・・」
まどろみを抜け出せないまま、そっと箱に手をやった。
今日はまだ、12月の23日だったはず。
キリスト様の降誕祭とやらは、早くても明日の日没からだ。
差出人は無し。
でもまあ、置けるとすれば、
隣で寝ているふりをしている、
この、奇術師だけなのだろうけれど。
アジトに帰ったは、
やっぱり夜が怖いままで。
1人だと寝付きそうにない彼女を見るに見かねた・・
いや、そんな彼女の弱みにつけ込んだ我らが団長が、
の添い寝を希望したことから、事件は勃発する。
まあ、事件と言っても、団員が、
少しばかり本気で戦闘を繰り広げるだけだ。
つい最近までを独り占めしていた団長に、
彼等が其れを許す筈もなく、
そして、そんな絶好の機会を、彼が逃す筈がない。
そんなこんなの、の添い寝役当番制が、出来たというわけ。
「はあ」
吐き出した息は、やっぱり白い。
は、手に持ったそのプレゼントを見やって、
また一つ、溜息をついた。
「ありがと。ヒソカ」
例えば其れが、どれだけ胡散臭くて、
どれだけ変態で、どれだけおかしな奇術師からの物でも、
は開けていただろう。
儀礼上だけで渡されるプレゼントではないから。
でもまあ、あの奇術師が、なんの策略も無しに、
そんなプレゼントをする筈がなくて。
それは、ハロウィンの時に証明されていた筈なのに。
「アロマキャンドル?」
小さなそれから出てきたのは、
可愛らしい薔薇の形をした、アロマキャンドル。
ご丁寧に真っ青なそれは、
神の降誕祭を祝う日のプレゼントとしては最高だ。
「神の祝福」
「奇跡を願ってるんだけどな★」
布団の中から聞こえた声。
は布団から抜け出して、
キャンドルを小さな丸テーブルの上に置くと、
そっと火を灯した。
ゆらゆらと揺れるそれに、
何故だか意識もゆらゆら。
またまどろみに引き戻されたような感覚で、
一番最初に見た顔は・・・・。
→化粧前の奇術師。
→靡いた黒髪。
→揺れたのはファーコート。
→黒から覗く鋭い眼。