「これは何の罰ゲーム?」
「調理実習でしょう?ただの」
「まあね」
今日が、ヴァレンタインデーなんて代物でなければ。
何も、2月14日に、
チョコレート系のお菓子を作らなくても良いと思う。
「それじゃあ、其処にある材料で好きに作ってね」
『は〜い!』
放任主義にも程があるぞ。
並盛中学。
「ちゃんは何作るの?」
「適当」
「適当。で作れるのはあんたくらいよ」
「混ぜて焼くか固めるかするだけだし」
あっちこっちでオーブンが火を噴いてるのは見ないでおこう。
何処まで料理音痴なのか。
現代の女の子は。
目の前にこれでもかと積まれているチョコレートの塊を、
手に取ったは、一つ溜息をついて、まな板の上に放った。
「(殺気を感じるわ)」
調理実習を無事終えた女子達が、
きゃいきゃい叫びながら廊下を歩いている。
もう、直ぐ目の前は教室。
飢えた狼・・・というか、只の莫迦共が待つ教室。
「逃げよ」
先程の調理実習で作らされた作品を持ったまま、
は教室を当たり前のように通り過ぎ、
屋上に向かった。
中庭に向かった。
音楽室に向かった。
裏庭に向かった。
校門に向かった。